ライカの写真は生のままが良いのか問題【撮って出し写真と現像】

ライカの写真は生のままが良いのか問題【撮って出し写真と現像】

ライカのレンズの描写はよく称賛される。ではライカで撮った写真は現像なしの撮って出し(ここでは「生」の写真とする)が良いのだろうか。これについてちょっと考えてみたい。

ライカに求める描写と実際の写り

ライカのレンズを使う人はいうまでもなくライカの描写を求めている人がほとんどだろう。ここで改めてライカらしさとは?みたいな話をすると進まないのでここに興味ある人は下記も参考にして欲しい。

ライカにおける撮って出し写真と現像

現像なしというのはいわゆる「撮って出し」、つまりカメラとレンズの組み合わせのみによる画像生成となる。

これを良しとするライカユーザーは生のままの描写を称賛するのだろうが、私は個人的に大きく現像で変えるほうを選んでいる。これはなぜかというと2つ理由がある。

まずひとつはライカ社の性能をアピールする写真を撮っているわけじゃないということ。

写真に使ったカメラとレンズの注釈を無意識に入れている人が多いけれど、ここはけっこう気を使うべきところだと思っている。

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ライカ社的な作例としての写真?

一般的に写真という「図像」よりも「言葉」の情報のほうが具体的に人の脳に働きかけるので、レンズなどの情報が書かれていると「その写真はその機材で撮られた画像である」ということが前面に出てきてしまう。作品そのものを優先させたいとき、機材情報は書く必要がない、ということになる。

ライカの写真は生のままが良いのか問題【撮って出し写真と現像】Leica M10 summilux35mm f1.4 2nd (写真は限りなく作例となってしまう)

つまり生のままの写真で機材情報をのせれば「ライカ」としての作例の写真になる。「ライカ」として撮りたいのであればもちろんこれでいいのだろうが。

じゃああなたが使うカメラはライカでなくても良いのでは?みたいなことも言われそうだが、いやいや、あくまでライカをベースとして、そこから更に自分なりの解釈を加えた写真を見せたいという欲がある。

これが2つめの理由だ。

撮って出しからデジタル現像すること

ライカのカメラ×好きな描写のレンズ×表現の工夫。これが求める写真の表れを得るために必要な工程だと思っている。

求める写真のためにはこのプロセスすべてに意味がある。だから、写真を撮って撮って出しのままだと1つ工程が足りない気がしてくる。

ズミクロンが、ズミルックスが、と永遠とレンズの描写についてだけ言っている人は写真が好きなんじゃなくて、レンズというおもちゃが好きなんだろう。

確かに一生遊べるおもちゃが欲しいなら、ライカはとても良い選択肢になる。なぜかというとライカを選んだという選択に一定の保証があるからだ。

自分の選んだものが実は間違いだったのではないか?と何度も振り返る必要がなく、一定の評価の上にずどんと腰を下ろして安心して遊ぶことができる。

そして人を惹きつける奥深いその性質を解き明かそうとさせる懐がライカにはある。まぁその行き着く先は単純に光学(+多少の認知学)だとは思うのだが。

ライカの撮って出しと現像に対する考え

なおライカ自体はというと、レンズの作例紹介のときにさえ現像で大きく描写を変えている。

つまり「撮る→デジタル現像」のフローを含めて「写真撮影」としている、と捉えることができる。

これはデジタル世代なら一般的な流れだし、そこまで込みでカメラを何にするか、レンズをどうするか、という選択をするべきだ、というライカ社からの投げかけだと思っています。

生のままの写真が唯一の古典写真なのか

まぁしかし古臭い考え方をすれば、カメラやレンズの物理的及び科学的な反応をもって自然物を写し取ったのが写真であり、少しでも個人の作為で部分的に歪めたものは写真以外の何か、つまりCGやイラストである、と言いたい人が未だ一定数いるのは事実なのだろう。

しかし初歩的なことをあえていうと、写真は真実を移さないし、作為まみれであり、デジタルカメラはあらゆるところでデジタル処理をかけまくっている。目の前の景色をそっくりそのまま写すなんてことはそもそもに不可能なのだから、その表面的な確からしさにのっかるのではなく、自分が見ようとする景色の意識に沿って写真をいくらでも作り替えていったほうが良いのではと思ったりする。

結局写真は生のままの撮って出しが良いのか、現像が前提か

結局撮って出しか、現像が前提なのか。

ひとつ言えるのは究極的に手に入れたい画像がそのレンズの通常出力でしか得られないのであれば、それは生のままの写真を使う理由になる。実際に現像ではどうしようもない、特定のレンズでしか得られない特別な表情はある。タンバールやヘクトールを見てるとそれは感じる。

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しかしそれらは同時に、「そのレンズで撮ったことがすぐに分かってしまう」弊害もあるわけで、表現としては「使われてしまう」形になりがちだ。なぜそれを使うのか、より深く言語化して、その表現を使わなければいけない説得力を写真に投影しなくてはいけないのだろう。

つくづく写真にとって道具は諸刃の剣だなと思う。しかしライカを選ぶというのはこういうことなのかもしれない。

みなさんは写真の現像と画像について、どう思いますか?

X(@soyumn)やってます。
ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。

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