ライカで何を撮るべきか

ライカで何を撮るべきか

ライカで何を撮るべきなのか。

もちろんそれは自由だ。好きに撮らせてくれよという声が聞こえてきそうだ。しかし念願のライカを手に入れてあなたは何を撮ってるだろうか。

もしかしたらレンズの写りに惚れ惚れして、名も知らない草花や良く分からない街の隅を撮っては酒を飲みながらこの描写が良いんだよなぁと悦に入ってはいないだろうか。

ここでは写真を通してわれわれは何を撮るべきなのか、について探ってみようと思います。

撮るべきものを分類する

確かに写真は好きなものは撮れば良いのであって、知らない草花や街角、くたびれた車の錆などを撮ることが悪いわけではない。しかし自分の中で「撮るべきもの」が明確にないと写真の軸もブレるし、そもそも写真を通して何をしたいのかがよく分からなくなる。

まずは一般的に写真としてよく撮られる対象を大きく分類してみよう。ここではよくある4つのタイプを上げてみる。

新しいものを撮る

新しいものとは「新しくできたもの」もしくは「自分にとって新鮮なもの」だ。これらをを撮るというのは事物の印象と対峙することになる。写真としては記録的な意味合いも含まれる。そのときに撮ったことが数年後に価値が出る場合も稀にある。

古いものを撮る

古いものを撮るというのは、おしなべていうとアナクロニズムになる。古いからという理由だけで撮ると写真という行為が単調になりがち。ただ記憶との繋がりや関連性を生みやすい側面はある。

珍しいものを撮る

珍しい風景や珍しい動物、珍しい現象など。こういうものを撮るために写真は発達してきたが、もはや意義を失いつつある。デジタルやAIで淘汰される分野。それでも最初の一枚は意味がある。

かっこいい写真を撮る

かっこいいの定義によるが、「かっこいい写真」は皮肉を含んでいると認識したほうが良い。インスタントな美的価値は消費を加速させるだけだったりする。ここを目指すと後で厄介なことになる。

これらの写真はよく撮られるタイプのものだが、上記のように批判的にみることもできる。

人によってこれらの捉え方も変わるだろうが、自分が日頃撮っているものがどういうカテゴリに属していて、それが何を意味するのか、には意識的であったほうが良いと思う。極論を言ってしまうと、上にあげているようなものは優先して撮るべきものではなく、今更撮っても写真の文脈的に大きな価値はない。

ライカを使うということ

ライカといえば皆が憧れるカメラであり、昔ライカを持っていたらそれはもう一家の宝と言われたようなものだ。つまり批判を恐れずに言うと、ライカは特別なカメラであり、ライカを使うというのは写真を通して特別な体験を切り取り焼き付ける行為とも言える。

もちろんライカは今は金さえだせば誰でも買えるカメラなのだけれど、だからこそ、その交換価値を考えて「ライカ」で「何を撮るのか」に意識的でいたいと思っている。

ライカの描写と撮るべきものの関係性

大枚はたいて買ったレンズ。その性能をなめるように描写の特徴がよく分かるような写真を撮っては、「ここの質感表現が…」「ボケのなめらかさが…」と繰り返しているだけでは悲しい。レンズ研究家ではない限りそんなものに言及する必要はない。何群何枚で、フローティング機能が…というのも関係ない。我々はレンズを作りたいんじゃない。写真を撮りたいのだ。

レンズの味だけを味わうのはレンズの奴隷だ。レンズは道具だからこちらが使ってやらないといけない。使いこなすためにある程度知る必要はあるが、知り尽くすのが目的ではないのだ。

ライカで撮るべきもの

結局ライカで何をしたいのか、それを考えるところからだ。

もちろんそれは千差万別だから一概には言いにくいが、ただひとつ、共通する答えがあるとしたら私はこう言う。「美しいものを撮ろう」

「美しい」とは何か。これは写真および芸術が、古代から現在まで、そしてこれからもずっーーーと議論し続けている内容だ。

「美しい」は時代、国、文化、宗教、性別など様々な要素で変わるし、昔は「美しい」といわれなかったものも突然「美しい」の仲間入りをしたりする。そうやって「美しい」は常に更新されている。

だからこそ自分だけの「美しい」を見つけて、「これが私が美しいと思うものです」と見せることができるのが写真の良さではないだろうか。

レンズを通して家族を見てみるといつもと違う表情が見えた。そういうものも美しいと思う。

夜に散歩に出かけたらいつも人で一杯の空間に誰もいないのが何だか楽しくてシャッターを切った。そういうのも美しいの発見かもしれない。

撮るべきものはファーストショットに

手持ちのカメラで初めて撮ったファーストショットを覚えているだろうか。私は初めてライカを手に入れたとき撮った写真は夜の森に光る1つの灯りだった。何だか神々しく感じた。初めて収める写真だから何でも良いわけじゃなく、何かピンときたものを撮りたいと思って必死で探して撮った一枚だった。

まぁ今思うと大した写真ではなかったのだけれど、何度も見返したものだ。いま振り返っても写真を撮るってこういうことなのかな?と考えたりする。「これだ!」と思う瞬間。そこに出会えるか、出会おうとするか。

「写真は結局一枚目が良かったりする」とよく言われるのも、自分がそのとき感じた何かの衝動と直接結びついているからだ。この衝動や気持ちにちゃんと向き合って自分の中で育てていくことができれば、「ライカで何を撮るべきか」は自ずと明確になってくるのではないだろうか。

X(@soyumn)やってます。
ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。

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