【窓か鏡か】ライカの写真は鏡であれ
その写真は窓か鏡か、という議論がある。
これはmomaの写真部門キュレーターをしていたジョン・シャーカフスキーの有名な言葉になる。写真を撮ることにおいて改めてこの「窓か鏡か」を考えると良い写真を撮る大きなヒントが見つかるので見ていこう。
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CONTENTS
写真における「窓か鏡か」とは?
写真における「窓」という行為
写真における「窓」とは、ざっくり言うと新しいものや珍しいものなど見せたい世界を見せる行為だ。窓枠に囲んだ限定された場所を見るという行為を写真に課せているという方法になる。
日常の延長という意味では、美しい夕焼け、雲海風景、秘境の土地の景色、肉眼では捉えられない星の写真など。社会的な意味では、一般的でない特定の現場や隠れた社会の実情などが含まれる。
多くの人が一目ですごいと思ってしまうような写真は、大抵この「窓」の機能を使っている。
写真における「鏡」という行為
一方「鏡」はというと、自分の心情や内面の心理描写、心の揺れ動きを写しとるタイプだ。
被写体の関係性、時代性から見えてくる意味、写真として記録される文脈、対象の表情から想起されるイメージなど。
「窓」とは対照的に、一見して特別な被写体が写っていなくとも「鏡」の写真は読み解いていけば深い景色を広げてくれる。
すべての写真がこの「窓か鏡か」という2つに完全に分かれるわけではないが、この今見ている写真はどっちだろう、自分がいつも撮っている写真はどちらが多いだろうか、と考えるだけでも面白いと思う。
ライカと写真、窓と鏡の関係性
そしてライカ。ライカで撮る写真についても触れておきたい。
まず大前提としてマクロや超望遠に積極的でないマニュアルのライカ(M型)は見慣れない風景写真や現場を写しきるカメラではないと思っている。
まぁ実質的に幾分かは撮れなくないが、そこに全力を注ぐなら他にもっと効率の良いカメラは無数にある。
ライカが撮りやすいのはどちらかというと、「手の届く範囲にある対峙できるもの」だ。
対峙とはどういうことかというと、被写体との関係性を考え、それを問う写真を撮ることになる。
この関係性をはかるのがまさにレンジファインダーであり、その距離感によって写真は如何様にも変化する。
「窓か鏡か」に求められるもの
そういったものをなぜ撮るのか、なぜ写真に収めて他者に閲覧させるのか。そこには撮影者の意思がいる。
写真とは撮影者本人が意図を持って、被写体との繋がりを可視化するものと仮定すると、これはいわゆる「鏡」なのではないかと思う。つまりライカが得意なのは「鏡」の写真であり、自分にとって鏡的写真とは何なのかを考える絶好のツールだというのが私の持論だ。
あなたがライカで撮っている写真は「窓」だろうか、「鏡」だろうか。それ別にライカじゃなくてよくね?とか、せっかくライカを手にしたのならもっと鏡的写真にチャレンジしても良いんじゃないか?と思うことは多々ある。
ライカの写真は鏡であれ
ライカを手にする理由は人によってさまざまだろうが、常に窓か鏡か。自分はこの問いを忘れずに写真を撮っていたいと思う。なぜなら窓としての写真はもう十分に役目を果たし終えているのではないかと個人的に考えているからだ。
1枚のイメージにどれだけ複層的な厚みを持たせられるか、それが写真におけるひとつのゲームだとしたら私は迷うことなく鏡のエリアを探すだろう。そして手元にはライカがある。この分野の「写真」はずっと残るだろうから、ゆっくりと取り組んでいけばいいのだ。そう、ソーシャルメディアなどに惑わされずに。
X(@soyumn)やってます。
ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。
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