ライカは高いだけの時代遅れのカメラなのか

ライカは高いだけの時代遅れのカメラなのか

カメラを特別に持たなくてもいつでも写真が撮れる時代。そして自ら写真を撮ることさえ不要になってきている時代。

そんな今ライカは時代遅れのカメラなのか考えてみたい。ちなみに自分はライカ=時代を先取っているカメラだと思っています。

ライカは金持ち向けの高いだけの時代遅れカメラ?

冒頭に言ったように私はライカを時代遅れではなく、時代を先どっているカメラだと思っています。それはなぜか。順に説明をしていきます。

カメラに求められるもの、ライカと性能

現状、機能一辺倒のカメラは正直言って求められていません。もちろんプロの現場ではそれなりに需要があるのだろうけど、アマチュア、趣味で写真を楽しむ人達には今のカメラはすでにオーバースペックになっているからです。

また記録をするだけならスマホがあります。そして仕事で必要な写真、シーンはAIが生成してくれます。

つまり「自ら凡庸的な写真は撮る必要がない」と言い切れなくもない時代になってきています。こんな現代において写真を撮る必要があるとき、つまり写真を撮る意味とは、一般的な記録を除けば「撮りたいと思ったものを深い記憶とともに収めること」であると私は考えます。

ライカと撮影体験

ライカは高いだけの時代遅れのカメラなのか

ライカは撮影体験を限りなく高めて、もはや「写真を撮ることができる」という特別でも何でもないことを最大限に内的な満足感の方向へ昇華しています。

どういうことかというと、これはレンズ設計やその描写、プロダクトのディテールやブランディングなど多岐にわたる表現に、「写真を撮ることが特別な体験になる、そのためにはライカが必要だ」という打ち出し方をしているということです。

もしライカが以下のような感覚だったら、今と同じ撮影体験を得られるのでしょうか。ちょっと想像してみてください。

  • 平凡な絵。個性のない絵づくり。
  • 質感が良くない。肌触りが悪い。
  • 軽すぎる。スカスカした感じ。
  • 音が悪い。煩い。もしくは偽物の音。
  • 電子制御で人が操作する余地がない。
  • 形が良くない。
  • レンズを選ぶ楽しみがない。
  • 劣化しやすい。
  • 大きすぎる、小さすぎる。

どうでしょう。ライカは(特にM型は)これらのほとんどをリッチに価値づけすることで、人が写真に求めるものと写真行為の後に体験するものを充実させていると思います。

なぜライカが時代の先を行くのか

ライカは高いだけの時代遅れのカメラなのか

先程言ったように写真は自分で撮る必要のない時代になってきました。しかし人は自らシャッターチャンス選ぶことで意識的にその瞬間を記憶に残したいという欲求だけはあります。

事実ライカ自身がカメラとマインドフルネスの関係に言及しているように、求める画像をいちいち撮る必要のない世界だからこそ、精神的な充実のためにとる行動が重要になってきていると私は感じます。

ライカは宗教なのか

例えば、私自身よく瞑想をやるのですが、瞑想で得られるメリットは外側から見てもわかりづらいです。またどれだけ瞑想をしたか、どれだけすっきりしたかを誇り競うような文化もありません。つまり競争の軸ではなく内面的な充実の軸で物事を多く語れるのが瞑想という行動です。

これはカメラもそうで、競争のために良い写真、かっこいい写真を撮ることはもうすでに意味をなしません。SNSで「こんなに良い写真を撮った」と公開することは実は非常にナンセンスです。当人が撮ったことが定かでないことの不確実性はAIも同じであり、逆の視点で言えば自己承認欲求を満たしたいというのを露呈していることになってしまいます。

もちろんこれを一般的な視点で完全に否定するわけではないです。こういったことは自然の流れであることは認めつつも、本質はそっちではなく自分自身の充実のために写真を撮るのだよ、ということを私は言いたいわけです。

もしライカを盲目的な宗教として外側から見る人がいたら、それはプロダクトの性能をきちんと見ていないか、ライカがもたらす内的体験を得たことがないかだと思います。

なお内的体験を充実させるためには最大限シークエンスを練り上げる必要があります。お祈りに行為が必要なように、カメラにも所作が必要です。

ライカの底蓋を開くのが儀式と言われていたように、そういったいくつもの儀式を経て、我々は我々自身で撮影を特別にしていく必要があるのです。

効率化とは逆の方向に行為を重ねること。短いスパンで快楽を得るのではなく、ミドルスパンで体験から物事を得ることこそが人間的な生活と喜びであり、今後一層見直されていく分野だと思っています。

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ライカとともに時代を歩む

こんな今だからこそライカを買おう、と私は言いたい。ライカを使っている時間は限りなく特別な時間になります。ライカを持つ前と持った後で写真体験は大きく変わるし、また写真に対して向かう意識も大きく変わります。

ライカを手に入れた後には誰にも邪魔されない静謐な時間がそこにあります。ライカを手に時代の変遷を眺めることが、写真を取り巻く状況で一番確実な行為だと私は思っています。

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