オールドレンズを極限まで楽しむ5つの方法

オールドレンズの楽しみといえば、カメラと同じメーカーが過去生産したレンズをつけて時代の違いを楽しむのがひとつ。しかしそれだけで終わらないのがオールドレンズの深い世界。他に何か面白い遊び方はないかなと模索している方へ、更なるディープなオールドレンズの世界へお連れします。

オールドレンズの使い方1:画角を変えて使う

オールドレンズは描写の個性と画角がセットです。つまりライカで例えると、50mmでぐるぐるぼけが出ていたらズマリット50mm f1.5、のような感じ。

そこでこの画角を変えてしまおうということです。するとけっこう新鮮な気持ちで撮れます。ここではより望遠側で使う方法と、より広角側で使う方法をお伝えします。

オールドレンズをより望遠側で使う方法

オールドレンズをより望遠側で使う方法135mmレンズを200mm程度にクロップして撮影

これはセンサーサイズを変えて使う方法と、クロップする方法の2タイプがあります。カメラを変えてセンサーサイズを変える場合であれば、ライカM8やライカCLでMレンズを使えば1段階レンズの画角が変化します。APS-Cの場合おおよそではありますが、下記のようなイメージ。

28mmのレンズは45mmに

35mmのレンズは55mmに

50mmのレンズは75mmに

75mmのレンズは115mmに

90mmのレンズは135mmに

つまり準広角だと思っていたオールドレンズは標準レンズとして使え、標準レンズは中望遠レンズとして機能します。

またクロップ機能のあるカメラだとよりフレキシブルに画角の変更ができるので便利です。ライカM11では1.3倍と1.8倍のデジタルズーム機能があり、クロップしても十分な画素数が確保できるため実用レベルとして使えます。例えば28mmレンズを持ち出せば、35mmレンズとしても、50mmレンズとしても使えるため1つのレンズでかなり幅のある撮影ができます。いつも違う画角で撮ることで手持ちのオールドレンズの新しい側面が見えるでしょう。

LEICA M11
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オールドレンズをより広角側で使う方法

オールドレンズをそのレンズの画角より広く使うことも可能です。それはフルサイズよりもセンサーサイズの大きいカメラを使うことです。FUJIFILMから出ているGFXシリーズは中判カメラに近いセンサーを持っているため、フルサイズ用のレンズを付けるとより広角側のレンズとして使うことができます。

レンズは本来フルサイズならフルサイズ用として設計されるため、よりセンサーサイズの大きいカメラで使うと画像が端まで写らないことが多いです。しかしライカのレンズの中には中判のイメージサークルをカバーするレンズがあります。また完全に隅まで結像しなくとも周辺減光のように味として楽しめるものも多いです。

自己責任にはなりますが、手持ちのレンズを中判でいろいろ試してみるのは楽しそうです。なお、下記の本では大量のレンズが実際にどれだけ写るか検証した結果が載っています。おすすめです。

オールドレンズの使い方2:オートフォーカスで楽しむ

ソニーαシリーズやニコンZなどのミラーレス機では、通常マニュアル撮影のオールドレンズをマウントアダプター経由でオートフォーカス化して楽しむことができます。

ピントが合いにくいシーンや、開放値の大きいレンズで動いているものを撮りたい場合など、マニュアルでは諦めなければいけなかったシーンでも撮ることができます。ライカでは素早いピント合わせは鍛錬が必要です。「ライカはスポーツだ」なんて言われたものですが、、撮ると決めたら確実に撮りたい派の人へ、このマウントアダプターはおすすめです。

Fotodiox LM-SNE-PRN Ⅱ

ボディマウント:ソニーE レンズマウント:ライカM
ソニーα9、α7 Ⅲなどが対象。
FnボタンによりAFからマニュアル、マニュアルマクロとモードを変えられる機能がある。

Megadap MTZ11

ボディマウント:ニコンZ レンズマウント:ライカM
ニコンZ用のマウント可動式のAFアダプター
大きなレンズにも対応できるので、望遠レンズなどとも相性が良いです。

Techart LM-EA9

ボディマウント:ソニーE レンズマウント:ライカM
ソニーα9、α7 Ⅲなどが対象。
すべてはLM-EA7から始まったAFアダプター。
9になって小型化し出っ張りがなくなって使いやすく、すっきりしました。

オールドレンズの使い方3:レンズエレメントを交換する

ここからかなり上級者向けの楽しみ方です。

ひとつはオールドレンズを分解して、そのレンズのエレメントを他のオールドレンズと交換することによって意図しない描写を楽しむという方法です。有名なレンズとしてNikonとCanonの特定のレンズを交換した、NiCa-Art、およびCaNi-Artというものがあります。詳しくは下記Facebookのコミュニティがあります。

Bokeh Art Lens(ボケアート・レンズ)愛好会
https://www.facebook.com/BokehArtLens/

私も作ってときどき遊んでます。左がNiCa-Art 50mm f1.4、右がCaNi-Art 50mm f1.4。それぞれ描写が違って個性がある。

オールドレンズを極限まで楽しむ5つの方法

オールドレンズを極限まで楽しむ5つの方法

オールドレンズを極限まで楽しむ5つの方法

かなり収差が出るので通常のレンズでは考えられない描写が楽しいです。ここまで来ると新たなレンズを作り出すような方向ですね。

オールドレンズの使い方4:レンズを取り出してDIYする

過去様々な用途で製造されたレンズをライカで撮ってみたい、という欲望に駆られた戦士達が作り上げた改造レンズの世界。巷には「ライカMマウント改」と称される様々なレンズが存在します。

また個人でプロジェクターなどからレンズを取り出してはオリジナルでヘリコイドに移植して撮影を楽しむ方法もあります。こちらの記事では蛇腹カメラのレンズを取り外してオリジナルのヘリコイドに移植してレンズを制作した記録です。

レンズは遮光のための筒を用意して正しい距離に取り付ければひとまず写ります。誰も見たことがない景色を見たい方にはディープな楽しみ方をどうぞ!

オールドレンズの使い方5:ジャンクのレンズを使う、研磨する

カビやバルサム切れ、クモリや傷などによって本来の描写から離れた写りをこれも良しとして楽しむ方法があります。上記の症状があるレンズでは全体的に淡く儚い感じの写りになったり、フレアが出たりと新品のレンズでは味わえない描写が得られます。これを上手く活かせば非常に幻想的、神秘的な写真も撮れたりします。

そして一通りジャンクぽさを味わった後はレンズ自体をオーバーホール&研磨して本来の描写に近づけるという荒業も可能です。国内ではいくつかレンズの研磨を行っているところがあり、レンズ製造時の能力を限りなく復活させることができます(すべてのレンズが対象ではありません、そして必ず修復できるわけではありません)。

ジャンクのレンズ描写と研磨後の本来のレンズ描写、1つのレンズで2つの側面を楽しむというのもなかなか通ですね。

まとめ

以上、かなり変則的な楽しみ方も含めて、オールドレンズを極限まで深く遊び尽くす方法について語ってきました。

私自身もライカMにライカのオールドレンズを付けるだけでは飽き足らず、他メーカーのレンズや改造品などいろいろ試してきて分かったことがあります。それは想像力次第で無限の可能性があるということ。

そしてやっぱりライカの純正のオールドレンズはクオリティが高いということです。一周してやはりライカは凄いんだなと理解しました(笑 

ベテランの職人が表現を深めるために自ら道具を作るように、自分なりの写真道を歩むのであれば自分なりの道具を開発するのもひとつの手です。どうしても撮りたい写真がある、そのためにはどうしたら良いか、試行錯誤する。そういった時間というのも写真の醍醐味だと思います。オールドレンズは可能性の幅が広く、自分の想像力次第で如何様にも答えてくれます。

ぜひこの記事を参考に、自分だけのオールドレンズの楽しみ方を模索してみて下さい。

X(@soyumn)やってます。
ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。

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