ライカレンズは研磨で性能は変わる?山崎光学写真レンズ研究所へ行ってきた。

ライカレンズは研磨で性能は変わる?山崎光学写真レンズ研究所へ行ってきた。研磨後の初代沈胴ズミクロンで撮影

ライカのオールドレンズは研磨することで本来の性能をどこまで取り戻せるのか、気になって検証をしてみましたので記そうと思います。結果から先にお伝えすると、研磨することでびっくりするほど性能が良くなることが分かりました。これほどまでとは思っていなかったのでその感動も含めてお伝えできればと思います。

Summicron 50mm f2.0 1st
取り扱いのあるズミクロン 50mmを見る

山崎光学写真レンズ研究所へライカレンズ研磨を頼むきっかけ

ライカのオールドレンズは研磨すれば本来の性能を取り戻せる。そしてそれを行ってくれる場所があり、山崎光学写真レンズ研究所というところだと。どこからともなくそのような話を以前からよく聞いていました。

マニアックな世界で自分には縁がないものだと思いこんでいましたが、そういえば手持ちの初代沈胴ズミクロンは前玉に細かいヘアラインの傷があったな、と。そして光の入り方によっては描写がややねむたくなるときがあり少し気になっていたことを思い返しました。もしかして自分のレンズも研磨で生まれ変わるのでは、、と思い少し調べ始めたのがきっかけです。

研磨前の初代沈胴ズミクロン。よく見ると前玉に細かな傷がたくさんある状態。

初代沈胴ズミクロンはアポズミクロンに匹敵する?

調べてみると山崎光学写真レンズ研究所は東京大久保駅から少し行ったところにあり、オールドレンズを再生してくれる場所として駆け込み寺的によく利用されているとのこと。前玉が柔らかくて傷が付きやすいオールドレンズ、ライカでは特にズマールがよく持ち込まれていると聞きました。

自分のズミクロンもこちらで研磨してもらったらどう変わるのだろうか、そう想像を膨らませていた時期にこんな記事を拝見しました。

初代ズミクロンを本来の性能が発揮できる状態にするとアポズミクロンに匹敵するという内容でした(ただし比較対象は固定鏡胴)。

光学的なことや専門的なことにこれ以上言及はできないものの(アポズミクロンを持っていないので)、これは単純に面白い!そしてやってみる価値はあるなと思い、意を決して山崎光学写真レンズ研究所へお願いしてみることにしました。

山崎光学写真レンズ研究所とは

山崎光学写真レンズ研究所はコンゴーレンズを作っていた山崎光学研究所から独立し、現在はレンズの修理を専門に行っているそうです。山崎和夫さんと3代目の山崎敬さんのお二人で作業をされています。

山崎光学写真レンズ研究所の場所

住所:〒169-0074 東京都新宿区北新宿4-4-9
TEL:03-3362-1809
営業:月ー土 9:00〜17:00 日・祝日は休み

大久保、もしくは新大久保駅から徒歩で10~15分程度。レンズは郵送するか、直接伺って依頼するかのどちらかとなります。なお、どちらの場合もまずは電話にて問い合わせが必要です。どんなレンズを研磨したいのか、またそのレンズがどんな状態なのかなどを伝えます。そうすると研磨が可能かどうか判断して頂けます。研磨のあとにコーティングもして頂けるのですがモノコートになるため、研磨して再生するレンズは基本的にはオールドレンズのみとなりそう。(AFレンズやズームレンズ、非球面レンズも不可とのことです)

というわけで大久保駅まで向かいます。

レンズとはまったく関係ないですが、新大久保駅近くのアーガンというネパール民族料理の店があって、ここがすごく美味しい。かなり本格的な料理が食べられるため、近くに寄った際はぜひ行ってみてほしい場所。

山崎光学写真レンズ研究所は住宅地の中にあります。奥に通されると様々な専門的な道具に囲まれながらレンズを見てもらうことに。

様々な道具類が置かれている

山崎さんいわく、とても良いレンズ、前玉に少し細かい傷がありますが、まだまだ軽症とのこと。現状では本来の描写より少しコントラストが下がってるくらいですが、磨いてやればとてもきれいになりますよ、とのことでした。お話を伺っているととても丁寧で、温和な雰囲気に安堵しました。山崎光学写真レンズ研究所という名前がついているので勝手ながら気難しそうなイメージを抱いていたのですが笑、工程などもわかりやすく丁寧に説明してくださります。納期は2ヶ月。ゆっくり待つことにします。

ライカレンズを研磨した結果

研磨後の初代沈胴ズミクロン

後日仕上がったとの連絡を受けて取りに行ってきました。山崎さんとカメラ談義などしつつ見てみると驚くほどにきれいになっています。もともと鏡胴はきれいだったのでピカピカのレンズと相まって新品のような佇まいです。

抜けも非常に良い感じ。

美しい前玉の様子。

M9-Pを持っていったので開放でピントのチェックをして問題ないことを確認。この時点で気になる点などあればその場で調整をしてくれます。私はレンズの中に少し気になる汚れがあったので取り除いてもらいました。

そもそも軽症と聞いていたので、描写性能は若干良くなればいいかなと思っていたくらいでしたが、実際どうなのかこの時点ではどきどきです。なお、費用としてはこのときは3万円でした。

その後まずは研磨前に撮った状況を再現して、同じ様に撮影をしてみました。

研磨前

研磨後

明らかに良くなっているのが分かります。合焦部のシャープさが増して、コントラストも上がっています。より素材の雰囲気が伝わるようになりました。開放の滲みやボケの雰囲気など、レンズそのものの特性は変わっていないようです。

その後幾度となく試写をしてみました。外へ持ち出すとその違いがより明確になりびっくりしました。

Leica M9-P Summicron 50mm f2 1st

これは、、すごい。これまでの解像感とまったく違う。60年前のレンズとは思えません。

この初代ズミクロンの性能は当時スコアの最高値を超えて測定不能とまで言われたのは有名な話。これまでもときどきびっくりする描写を描いてくれて、その性能の高さに感心していたのですが、、レベルが一段回上がった印象。本来の性能はこんなにすごかったのか。

たまたま目の前を通り過ぎた自転車を撮る。

Leica M9-P Summicron 50mm f2 1st

もうアポズミクロンと同じでは、、、いやいや。安直なことを言うと色んな人に怒られそうですが、しかしこの描写は私的にはもう言うことないという感じです。自分の中で完璧な50mmレンズになってくれました。

初代沈胴ズミクロン研磨前と研磨後の比較

何枚か作例をあげて比較しながら見てもらえればと思います。先に研磨前の作例、その後に研磨後の作例を掲載します。

研磨前

Leica M9-P Summicron 50mm f2 1st

Leica M9-P Summicron 50mm f2 1st

Leica M9-P Summicron 50mm f2 1st

Leica M9-P Summicron 50mm f2 1st

Leica M9-P Summicron 50mm f2 1st

研磨後

Leica M10-D Summicron 50mm f2 1st

Leica M9-P Summicron 50mm f2 1st

Leica M10-D Summicron 50mm f2 1st

Leica M10-D Summicron 50mm f2 1st 開放で撮影。ピント面はシャープに。

なんてことない写真だが、等倍で見てみると…

ここまで解像している。

抜けが良くなり、非常にすっきりしています。そして対象物を上手く捉えたときの解像感は恐ろしいですね。。

初代ズミクロンの固定鏡胴と、沈胴タイプでは、全体の解像度の平均が高いのが前者、中心部の解像度がより高いのが後者と聞いています。ボケ味に関してはオールドレンズなので特徴があり、そこはアポズミクロンと大きな差があるかと思いますが、私はやや収差のあるレンズが好みなので、程よく収差を残しつつ非常に良く解像するようになったこの初代沈胴ズミクロンはこれ以上とないものとなりました。

初代沈胴ズミクロンのフィルターとフードITDOO

フィルターをつけてもほとんど違和感がなく収まる。

これまでレンズの性能をフルで活かしたいと思いフィルターもつけずに生で使っていたのですが、さすがにもう傷は付けられないのでフィルターを買いました。印字がなくてレンズのデザインを邪魔しないマップカメラオリジナルのフィルター。これはやはり見栄え良いです。製造はマルミさんなので性能もお墨付き。

MAPCAMERA (マップカメラ) MC-Nノーマルフィルター 39mm シルバー

MAPCAMERA (マップカメラ) MC-Nノーマルフィルター 39mm シルバー

ついでにフードも導入しました。

ITDOO

Leica ITDOO ズマロン/ズミクロン用フード

Leica ITDOO ズマロン/ズミクロン用フード

初代沈胴ズミクロンにはライカ純正のフードIROOAとITDOOが付きます。(ちなみにsummilux 35mm 2nd用の12504も付きます。)個人的にはITDOOのほうがシルバーの取付部が短く、スマートな印象なので私はこちらを。ライカのフードはかっこいいですが、状態の良いものは高騰してますね。

往年のライツの作り込みの美しさは本当にすごい。ずっと見てられます。
そして本来の描写を取り戻してくれた山崎さん本当にありがとう。

さいごに

Leica M10-D Summicron 50mm f2 山崎磨き

大事に使えばあと60年は使えますよと言って頂いた。そして、ここはレンズの病院みたいなものだから、また来てくださいとは言えないけれど、また何かあったときはぜひ連絡をくださいと行って頂いた。

何でも機械生産になってすべてが消費対象の雑貨になる時代ですが、こういった貴重な技術を持った人の手によって、新たな価値が生まれることはとても大事だと思っています。山崎光学写真レンズ研究所さんに依頼して心の底から良かったなと思っています。

Summicron 50mm f2.0 1st
取り扱いのあるズミクロン 50mmを見る

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