復刻(リバイバル)してほしいライカの銘玉レンズ

復刻(リバイバル)してほしいライカの銘玉レンズ

オールドレンズのブームが続いている昨今、昔作られたレンズが現代になって再評価されることが度々起こっています。昔は「こんなボロ玉、収差がありすぎて使えない、、」といっていたレンズが、「このフレアやボケがかっこいい!」となったりしているわけですね。

ライカはそんなニーズに答えるように、今人気のあるかつてのオールドレンズを復刻して、よりたくさんの人に使ってもらえるように再生産する動きがあります。さて、今後さらに復刻(リバイバル)されるレンズはあるのでしょうか。可能性のありそうなものを紹介していこうと思います。

まず現状をおさらいすると、すでに復刻されたレンズはタンバール90mm f2.2、ズマロン28mm f5.6、ノクティルックス50mm f1.2の3つです。

すでに復刻(リバイバル)されたライカレンズ

Thambar 9cm f2.2

復刻(リバイバル)してほしいライカの銘玉レンズ Thambar 9cm f2.2

レンズ種類
単焦点レンズ
レンズ構成
3群4枚
マウント
ライカL
焦点距離
90mm
F値
2.2
画角
27°
絞り羽根数
20枚
重量
500g
最短撮影距離
1m
フィルター
E48
フード
SHADE
製作年
1935-1942
カラー
ブラック
市場価格
約400,000-550,000円

オリジナルのタンバール90mmはソフトフォーカスレンズの代名詞で、木村伊兵衛も使っていたことで有名ですね。1935年から製造され本数は3,500本と言われており、かなりレアなレンズとなっています。市場に出たとしても状態の良いものも少なくなってきているのが現状です。

Summaron 28mm f5.6

復刻(リバイバル)してほしいライカの銘玉レンズ Summaron 28mm f5.6

レンズ種類
単焦点レンズ
レンズ構成
4群6枚
マウント
ライカL、ライカM
焦点距離
28mm
F値
5.6
画角
76°
絞り羽根数
8枚
重量
150g
最短撮影距離
1m
フィルター
A36
フード
SOOBK-12500
製作年
1955-1963
カラー
シルバー
市場価格
約150,000-200,000円

Summaron 28mm f5.6


またオリジナルのズマロン28mmは1955年から製造され、9,169本存在していると言われています。ただレンズエレメントがすごく小さいので拭き傷やクモリありなど状態の良くないものが多いので、当時の性能で使うのが難しいレンズのひとつです。またこのレンズのフードはライカの中でもトップクラスに価格が高く、おおよそ8万円前後で取引されているというのもびっくりですよね。

Noctilux 50mm f1.2

復刻(リバイバル)してほしいライカの銘玉レンズ Noctilux 50mm f1.2

レンズ種類
単焦点レンズ
レンズ構成
4群6枚
マウント
ライカM
焦点距離
50mm
F値
1.2
画角
45°
絞り羽根数
16枚
重量
470g
最短撮影距離
1m
フィルター
シリーズ8
フード
12503
製作年
1966-1975
カラー
ブラック / シルバー
市場価格
約3,000,000-円

Noctilux 50mm f1.2PHOTO BY Frankie Chu


そしてオリジナルのノクティルックス50mmはライカ初のASPH.レンズで、また初のブラック鏡胴をメインに採用したレンズです。ボケに癖があるのですがこの特徴が現代にはない個性となっていてファンの多いレンズでした。1966年から製造され、2,450本が存在しています。こちらも生産数が非常に少なくライカ随一の高価格で取引されるレンズでした。

どれも魅力的な個性がありつつも完全な状態(レンズ状態、フードやキャップなど)で入手が難しかったり、価格高騰が激しかったりと、ハードルが高くなっていたので復刻されたのは妥当かなという印象です。特にズマロン28mmはf5.6と暗いレンズですが描写に個性があって、見た目も非常にかっこよいので常用レンズとして人気です。

ちなみにこのように過去人気があったもので現在手に入りにくかったり、もしくは経年で劣化したり、微妙に現代にそぐわないものを復刻する動きはカメラ以外の業界でも盛んです。

例えばファッションの世界では、コムデギャルソンが過去の人気のコレクションを「EVER GREEN」という名をつけて、当時のコンセプトで現在風に解釈して売り出していたのが個人的に印象的でした。欲しかったものが手に入らない状況をメーカーが汲み取って再生産してくれるとやっぱり嬉しいもんですよね。

復刻(リバイバル)して欲しいライカレンズ

さて、今後復刻される可能性のあるレンズですが、レアでかつ高騰しているレンズというと、わかりやすいところでは、ズミルックス35mm f1.4 第1世代、ズミルックス35mm f1.4 第3世代、ヘクトール73mm f1.9あたりでしょうか?

Summilux 35mm f1.4 1st (第1世代)

Summilux 35mm f1.4 1st (第1世代)

レンズ種類
単焦点レンズ
レンズ構成
5群7枚
マウント
ライカM
焦点距離
35mm
F値
1.4
画角
64°
絞り羽根数
10枚
重量
245g
最短撮影距離
1m
フィルター
E41
フード
12522, OLLUX
製作年
1960-1966
カラー
ブラック / シルバー
市場価格
約1,000,000-円

Summilux 35mm f1.4 1stPHOTO BY Oboist

ズミルックス35mmの第1世代、いわゆるスチールリムと呼ばれるモデルは第2世代の黒鏡胴の「前期」とされていたもので、特徴のある開放の描写とコンパクトな外観が人気です。ちなみにこれを神格化する動きがありますが、描写は第2世代と同じで、後は個体差だと個人的に認識しています。(差別化することでのマーケティングの影響もあるとも言われてます。)真実はさておき、f1.4でコンパクト、見た目もかっこよく個性も強いとなれば、復刻は濃厚ですね。

Summilux 35mm f1.4 Aspherical (3rd) (第3世代)

Summilux 35mm f1.4 Aspherical (3rd) (第3世代)

レンズ種類
単焦点レンズ
レンズ構成
5群9枚
マウント
ライカM
焦点距離
35mm
F値
1.4
画角
64°
絞り羽根数
10枚
重量
300g
最短撮影距離
0.7m
フィルター
E46
フード
12587, 12588
製作年
1991-1994
カラー
ブラック
市場価格
約1,400,000-円

ズミルックス35mmの第3世代はいわゆる手磨きアスフェリカルと言われているレンズで、非球面レンズを人の手によって製造した稀有なレンズ。銘板に「ASPHERICAL」とあるのが当レンズです。描写のバランスが良く立体感なども優れているので非常に人気なのですが、かなり数が少なく高騰化してます。ただこちらは現行のズミルックス35mm f1.4 ASPH.との差別化がしにくく、また手磨きという大変な作業があるためコスト的に難しいかもしれません。

Hektor 7.3cm f1.9

Hektor 7.3cm f1.9

レンズ種類
単焦点レンズ
レンズ構成
3群6枚
マウント
ライカL
焦点距離
73mm
F値
1.9
画角
34°
絞り羽根数
12枚
重量
460g
最短撮影距離
1.5m
フィルター
E39, A42
フード
FGHOO
製作年
1931-1942
カラー
ブラック / ニッケル / シルバー
市場価格
約250,000-500,000円

Hektor 7.3cm f1.9

あと最近急激に人気になったレンズ、ヘクトール73mm f1.9です。こちらも収差が激しくて独特の雰囲気を使いこなすのが難しくあまり人気がなかったように思うのですが、鏡胴のバリエーションの多さや特異な描写が現代のライカユーザーに人気を博しています(価格も数年で2倍以上になりました)。このレンズはレア度もそこそこあり、高騰化&状態の良いものが少なくなってきてます。現実的には再生産できそうなので、復刻は濃厚ですね。リバイバルするなら、どの鏡胴のバリエーションで、またガラスの気泡は再現するのか笑、楽しみです。

復刻はしないかもだけど、復刻すると面白いレンズ

Elmar 90mm f4 Triplet

Elmar 90mm f4 Triplet
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まず個人的に面白いと思うのがトリプレットエルマー90mm f4です。ライカレンズの中で唯一のトリプレット(3群3枚)という構成で、レンズの構成はミニマルに、ガラスの硝材によって性能を良くしたという変わったレンズ。ピントの切れ味が良いことで有名ですね。作られた当時より材料も進化していると思うので、現在の最高のガラスを使うとどうなるのか、見てみたいです。

Elcan 66mm f2.0

エルカンという名のレンズは軍用カメラについていたレンズで、エルカン=エルンストライツカナダの略です。

エルカン50mmは有名ですが、実はエルカン66mm f2.0というものも存在します。こちらは究極レアなので、実物を見かけることもまずありませんが、もし復刻されたら50mmに飽きてきた人にとっては60mm程度って新鮮ですし、良いんじゃないかなぁと思います。サファリカラーのボディや、M10-P Reporterに合わせるのもかっこよさそうですね。



Snapshot Elmar 3.5cm f4

こちらも究極レアもの。というか、発売されずにお蔵入りしたレンズ。名の通りスナップショット専用でピントレバーはなく、距離計連動はしないため目測で合わせるミニマルな一本。シンプルで美しいし、M-D(Typ262)やM10-Dと合わせて、ただシャッターを切る瞬間だけに集中するスタイルなど潔くて良いんじゃないかと夢想します。まぁフォクトレンダーにスナップショットスコパーというものがありますが、、、あっちは25mmか。



Elmarit 28mm f2.8 1st (第1世代)

Elmarit 28mm f2.8 1st (第1世代)
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すべてのライカレンズの中で最もデザインが良く格好良い!という人も多いのではないでしょうか。でもかっこいいだけじゃなくて描写もすごく良いんですよね。玄人好みのレンズ。ライカの描写特徴として良く言われる、「シャープさの中に柔らかさがあり、ただ固い神経質なシャープではない」を最も体現できるレンズではないかと思います。レア度が高く、高騰化してます。純粋に復刻して欲しいけれど、復刻してもお高いんでしょ…??

Summar 50mm f2.0 固定鏡胴

Summar 50mm f2.0

ズマール50mmの多くは沈胴タイプで、まれに固定鏡胴(リジッド、ひょっとこと呼ばれる)のものがあります。通常の沈胴ズマールよりも発色が淡く、オールド感強めです。このレンズの人気は、やはりこの工芸品のようなバランスの良い外観でしょうねー。

このレンズ、ノンコートなのでフードが絶対に必要なのですが、フードつけると見た目が普通になってしまうので、現在の硝材とコーティング技術で復刻して、裸で撮影できるようにするとめちゃくちゃ良いのでは、、、と思いましたが、コーティングつけるとコントラスト上がって描写は少し変わってしまうのかも。しかし、ズマールを、しかもリジッドを復刻、となったらライカファンは喜ぶと思います。あ、その場合は少し鏡胴伸びても良いのでトロピカルズマールのように4群7枚でお願いします。

※トロピカルズマール:Tropen Summar、トロピカルズマールと呼ばれるガラスを1枚増やした4群7枚のレンズ構成のもの。熱帯地方向けに供給されたもので通常のものよりも解像度が高い。鏡胴はやや長くなっている。

以上有力であろうものに関して勝手なことをいろいろと申し上げてまいりました。 あとは復刻に関して細かな雑感としてです。

その他復刻に関して

CLレンズ(Summicron C 40mm f2、Elmarit C 40mm f2.8)

CL用のレンズとして存在した、ズミクロンC40mm、エルマリートC40mmなんかもどうでしょうか。これらライカレンズの中でもダントツで薄いんですよ。コンパクトでそこそこ明るく、軽いレンズは個人的に大歓迎です。あと40mmって実際問題、リアルな印象として本当に撮影しやすい標準画角のような気がします。

例えば24mm、40mm、75mmそれぞれ超コンパクトなレンズにして、専用の小さいケースに入れて旅に出るとか。夢。



Hologon 15mm f8

ツァイス・イコン時代のライカ用レンズなのでまぁ無理なんでしょうけれど、純正の最も広角のレンズがトリエルマー16-18-21mmってどうなのか問題があります。

なのでライカを使っていても現実的に18mm以上の超広角はフォクトレンダー頼みになるのですが、、純正で出してもいいんじゃないかなぁ、と。そういえばこちらもトリプレットでした。最近のバズーカのようなレンズはレンズ枚数がてんこもりですが、トリプレットにロマンを感じるのは私だけでしょうか。

あと、現在モダニズムの影に隠れてレンズそのものの意匠を愛でる文化は確実にあります。

厳密には復刻とは異なるのですが、レトロな外観で中身は最新のレンズ、というラインをフォクトレンダーが行っているように、この流れはライカも増えていきそうな気がしています。実際にズミルックス50mm f1.4 ASPH.やアポズミクロン50mm f2 ASPHなどは、中身はそのままに初期のモデルの外観を再現して特別モデルを出してますね。

Summilux 50mm f1.4 ASPH.

Summilux 50mm f1.4 ASPH.

APO Summicron 50mm f2.0 ASPH.

APO Summicron 50mm f2.0 ASPH.

ズミクロン35mm f2 第1世代のいわゆる8枚玉なんかも復刻されるか、もしくはASPH.のものを8枚玉の外観で、シルバークロームとブラックペイントを出すとかすると人気になりそうです。



さいごに

ライカはフィルム時代から限定品を非常に多く出しています。でもそれは一部のニーズを察知して、特別に制作することで満足してもらうための限定品であったように思います。

さて、バリエーションを作り差別化するのは本当にユーザーの為になるのか、それとも相対的な価値を生み出すただのマーケティングなのか、判断が難しいところですが。

熟慮の結果としてライカがどのようなものをこれから生み出していくのか常に気になるのは間違いありません。我々は1ユーザーとして、それを判断し、活用し、積み重ねていくのみです。みなさんより良いライカライフを。

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