ライカの28mmのレンズの比較とおすすめ

ライカの28mmのレンズの比較とおすすめ

ライカの28mmはスナップや風景撮影において欠かせない画角です。撮影者によっては最も中心となる画角で、ある意味「写真らしい写真」を撮るための必須のレンズになってきます。

ライカの中でも人気の28mmでどれがおすすめなのか。いろんな角度からそれぞれの28mmレンズを見ていきます。

ライカの28mmレンズが人気の理由

Elmarit 28mm f2.8 ASPH.PHOTO BY Alexandre Dulaunoy

28mmは街中のスナップ写真において最も王道となる画角です。ストリートにおいて35mmでは少し狭く、24mmや21mmでは広すぎて余計なものが映り込み過ぎるという方にちょうど良い範囲を切り取ってくれます。

28mmレンズを使う優位性はその画角により世界を少し誇張できることです。近づけば独特の歪みにより遠近感が強まって画面が引き締まります。

撮り方によってはダイナミックに撮りやすいことからライカでも人気の28mm。ライカで写真を撮るならまず一本は欲しいところです。ライカの28mmはいろんなバリエーションがありますのでそれぞれの特徴とおすすめを見ていきましょう。

ライカの28mmのレンズの描写傾向

ライカの28mmはそのレンズ名である程度分かりやすく描写が分類されています。特徴が分かりやすいので好みに合わせて選びやすいのがライカの28mのレンズです。

Summicron 28mm f2 ASPH.

Summicron 28mm f2 ASPH.



28mmレンズのスタンダードというとエルマリートを想像する人も多いですが、なかなか素晴らしいのがこのズミクロン28mm f2です。描写としては隙がなく細やか。真実味があって芯のある描写が得意なズミクロンというイメージをそのまま体現しています。サイズもf2にしてはコンパクトでボケも楽しめますので、迷ったらこのズミクロン28mmを選べば間違いなし、というレンズになっています。

Summaron 28mm f5.6

Summaron 28mm f5.6



開放値がf5.6という現代ではなかなか見られない暗いレンズですが、個人的にはライカの名レンズのひとつだと思っています。それほどに他では得られない唸ってしまうような、独特で個性的な描写が得られます。復刻もされて買い求めやすくなりました。とにかく小さいのもポイントが高いです。ただしプレーンでオールマイティな描写を求める人には合わないのでそこだけ注意が必要です。

Summilux 28mm f1.4 ASPH.

Summilux 28mm f1.4 ASPH.



鮮鋭な描写と溶けるようなボケの対比が美しいズミルックス28mm f1.4。ピント面を分離させることでしか得られないオンリーワンな表現が確かにあります。この撮影スタイルが必要ならばもうこのレンズしかありません。28mmレンズでの最高峰であり、むしろこれがあればすべてがまかなえます。個人的にすべてのライカレンズの中でレンズ1本に絞るなら選ぶであろうレンズです。

Elmarit 28mm f2.8 1st

Elmarit 28mm f2.8 1st (第1世代)



ライカの中でもとりわけファンの多いレンズ。見た目の良さもトップレベルであり、またどこか柔らかさを持ちながらもピント面はシャープさもあるという理想の描写をします。ただし個体差も大きいので良いものに巡り合うには運も必要。後部が大きく突出しているのでカメラも選びます。

Elmarit 28mm f2.8 ASPH.

Elmarit 28mm f2.8 ASPH.



小さい、軽い、写りは最高。数ある28mmレンズの中でも最もポテンシャルが高く、コスパに優れているレンズはと聞かれると、このエルマリート28mm f2.8 ASPH.を上げたいです。写りがかなり現代的になったことで合焦部とボケの境が明確になり、f2.8での物足りなさはありません。スナップならば最高の相棒になると思います。ズミクロンとはお好みでどうぞ。

Elmarit 28mm f2.8 2nd

Elmarit 28mm f2.8 2nd (第2世代)



描写の特徴は1stと似ていますが後方の突出がなくなり使いやすいです。周辺の滲みが良い味を演出してオールドレンズ好きなら第一候補だと思います。無限遠での評価などいろいろありますが、総じて良いレンズであると感じます。

Elmarit 28mm f2.8 3rd

Elmarit 28mm f2.8 3rd (第3世代)



他のエルマリートのバージョンに埋もれがちですが非常にシャープでしっかりと写る第三世代。やや大ぶりですが決して重いわけではなく、強い個性でぶん回したくないスタイルであればはまります。

Elmarit 28mm f2.8 4th

Elmarit 28mm f2.8 4th (第4世代)



非球面化するまえのコンパクトな28mmをお探しならこの第4世代がおすすめです。カリカリに写りすぎないけどシャープという塩梅。色再現性にも特徴があって良いですね。ズミクロン28mmと外観が似てます。

Hektor 2.8cm f6.3

Hektor 2.8cm (28mm) f6.3



こちらもファンの多いレンズです。現代のレンズと比べるとコントラストは低いですがその中間トーンの豊富さから被写体の内面を引き出すようなグラデーションを描きます。湿度の高い描写を好む方はもちろん、現行タイプとは真逆の方向に向いたい人へまずは手にしてもらいたいレンズ。上手く撮るにはコツがいるのでやや上級者向き。

ライカの28mmのレンズの使い勝手

28mmは被写界深度が深いためシビアな操作が求められることが少ないです。なのでレンズのサイズ感と外付けファインダーの有無が使い勝手の重要なポイントとなります。

ズマロン28mm、ヘクトール28mmに関してはライカレンズの中でもトップクラスに小さいレンズです。とにかくコンパクトにしたいという人はこの2つのレンズがおすすめです。その次にコンパクトなのはエルマリート28mmの第5世代以降、ズミクロン28mmも比較的取り回しの良いサイズ感です。

ライカの28mmレンズの撮り方

28mmはレンジファインダーとしてブライトフレームが用意されているものの正確に構図を合わせるには限界があります。やはり外付けファインダーで構図を合わせて、ピントはF8以降に絞ってゾーンフォーカスで撮るのが最も撮影のリズムが良いと思います。

ライカの28mmのレンズのデザイン

12501のフードが好きでエルマリート1st、2ndを選ぶ人も多いですね。個人的な好みとしては小さなシルバーレンズが美しいと思うので、ズマロン、特にヘクトールはおすすめです。

ライカの広角レンズはフードも含めて非常に良くデザインされているのでどれもそれぞれ個性があって素晴らしいです。フード欲しさにレンズを買うという人がいるのも納得です。

ライカの28mmのレンズの価格

オリジナルズマロン及びエルマリート初代は球数が少ないためやや高騰しています。特にズマロンは経年による描写の変化が大きく、本来の描写能力を発揮できる個体はどんどん減ってきていることもあり、特別なこだわりがなければ復刻版を購入するのがおすすめです。

安価に手に入れやすいのはエルマリート2nd〜4th、ヘクトールでしょうか。価格がそれなりに安定してますのでひとまず使ってみて、飽きたら売って買い替えるという手もあります。

28mmはあまり使わないけど1本は欲しいという人はエルマリートの非球面タイプ、安心して使える万能タイプが欲しい人はズミクロンを買っておけば幸せになれると思います。

ライカの28mmのレンズのおすすめポイント

レンズ/ポイント 描写 使い勝手 デザイン 価格 総数
Summilux 28mm f1.4 ASPH. 5 2 3 1 11
Summicron 28mm f2 ASPH. 4 4 4 2 14
Elmarit 28mm f2.8 1st 5 2 5 1 13
Elmarit 28mm f2.8 2nd 4 3 4 4 15
Elmarit 28mm f2.8 3rd 3 3 4 4 14
Elmarit 28mm f2.8 4th 3 4 3 4 14
Elmarit 28mm f2.8 ASPH. 4 5 4 3 16
Summaron 28mm f5.6 4 5 5 3 17
Hektor 2.8cm f6.3 3 4 4 5 16

少し意外な結果になりました。フード形状やコスパなど総合的に見ていくとこのような順序になったわけですが、実際にこの順でおすすめかというとやはり撮るものやシーンによって変わってきそうです。

28mmはライカの中でも伝統ある画角ですし、方向性に応じて選択肢が多いのも嬉しいですね。最新のエルマリートとヘクトールを両方持って使い分けたり、エルマリートを世代ごとに使い分けたり、奥深いこの画角をレンズテイストで掘り下げるのは何よりの楽しみだと思います。

ぜひお気に入りの一本を見つけて下さい。

ライカの28mmのレンズの総評

被写体を背景と大きく分離させたかったらズミルックス

立体感のある普遍的な描写が好みならズミクロン

究極のバランス感を求めるならエルマリート初期

飽きのこないモダンな画とコンパクトさならエルマリート最新

唯一無二の個性に惹かれたらズマロン

湿度感のあるオールドな雰囲気が好きならヘクトール

比較的分かりやすく描写の傾向が分かれているので、自分が何を撮りたいか、どういう風に見せたいかが明確であれば選びやすい画角なのかなと思います。

スナップ中心で撮影する人であればとりあえずつけておけば問題のない画角が28mmです。そういったときにとにかくコンパクトなものを1つ持っておく、のも良いでしょう。

28mmはどうせパンフォーカスで撮るからどれもたいして変わらないのでは?と思いがちですが、そうはならないのがライカの面白いところです。全体の印象で写真の良し悪しは大きく変わりますので、理想の描写を映し出してくれる一本をぜひ見つけて下さい。

ちなみにライカ以外にも28mmの候補はあります。

Biogon 28mm f2.8

Nokton vintage line 28mm f1.5 Aspherical

Ultron 28mm f1.9 Aspherical

Ultron 28mm f1.9 Aspherical
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Ultron 28mm f2

Ultron vintage line 28mm f2 Aspherical

Color-Skopar 28mm f2.8 Aspherical I, II

Color-Skopar 28mm f3.5

Color-Skopar 28mm f3.5
実売価格を見る

ライカと比べると大口径のものも手に入れやすいため、暗めのレンズはライカを使い、大口径はこれらツァイスやフォクトレンダーを試してみるのも良いですね。

ライカ28mmのファインダー

28mmは外付けファインダーが大事です。

28mm ファインダー 12007 (SLOOZ)



28mm ファインダー 12017



28mm ファインダー SUOOQ

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