ライカの21mmのレンズの比較とおすすめ

ライカの21mmのレンズの比較とおすすめ

ライカは21mmの単焦点レンズが豊富です。その中でどれが最もおすすめなのでしょう?

21mmというと超広角にあたり一般的な画角とは言えないものの、ライカにおいて21mmは人気のある画角のひとつ。ライカの21mmのそれぞれのレンズの特徴や違いを抑えつつ、おすすめレンズを探ります。

ライカの21mmレンズが人気の理由

Summilux 21mm f1.4 ASPH.PHOTO BY Crowning King

まずライカの21mmが人気の理由はいくつかあります。

1. 撮影に単焦点レンズを数本選んだ場合21mmを選びやすいため
2. ライカ(レンジファインダー)の構造上広角が得意、かつ撮影しやすいから

(1)は例えば持ち運びする単焦点レンズを3本までと決めた場合、最もオーソドックスなのは28、35、50という組み合わせです。ただ人にもよりますが、実際に持っていくと28mmでしか撮れないという場面は以外と少なく、35mmで事足りることが多いです。なので21、35、50という組み合わせにするとそれぞれのレンズの役割がはっきりしてきます。21mmというやや非現実的な画角が35mmや50mmとはまた違ったスパイスを与えてくれるのがよく選ばれる理由かもしれません。

(2)はレンジファインダーの構造上広角側に利点が多く、またコンパクトで歪みの少ないレンズも揃っているため手に取る人が多い、という理由です。

そんなライカの21mmレンズですが、F値で分けると大まかに3タイプあります。

ライカのレンズ選びで面白いのはF値が明るければ明るいほど良いレンズとはならないところ(良いレンズというのもそれこそ人によって違いますが)。もちろん明るければ表現の幅は広がりますがそれによる代償も増していきます(サイズが大きくなる、価格が高くなる、など)

レンズを選ぶ際の基本となるポイントは3つ。

・描写傾向

・使い勝手

・価格

この3つのバランスが取れれば購入が現実的になってくるのかなと思います。

あと、もうひとつ追加するのならデザインですね。モノとしての完成度も撮影気分に大きく関わります。ではそれぞれ3つ(4つ)のポイントについてレンズごとの特性を見ていきます。

ライカの21mmのレンズの描写傾向

まずどのレンズも広角にありがちな樽型収差や歪みなどはほぼなく、非常に端正に正確に写ります。しかし描写はさまざま。

Super Angulon 21mm f3.4

ここで試金石となるのはSuper Angulon 21mm f3.4でしょうか。

Super Angulon 21mm f3.4



とにかく特徴的な写りで、周辺減光はかなり多め、色味はあっさり目のオールドレンズらしい個性的な描写になります。非常に特徴的な写真が撮れるので何気なく撮っただけでも画になることが多く、とても人気のレンズです。ただしデジタルで使う場合いろいろと問題があります(※後述します)。


Super Angulon 21mm f4

Super Angulon 21mm f4



F値がF3.4とF4のものがあり、F4のレンズの後にF3.4に改良されました。仕上げやフードも異なる両レンズですが人気はF3.4のほうがあるものの描写の評価がやや高いのはF4のタイプ。


スーパーアンギュロンはカリカリの現代的な描写というわけではなく、どこか柔らかさも備えた表現になります。この点では初代Elmarit 21mm f2.8に通じるものがあります。

Elmarit 21mm f2.8

Elmarit 21mm f2.8




Elmarit 21mm f2.8 ASPH.

Elmarit 21mm f2.8 ASPH.



Elmarit 21mm f2.8は球面タイプの初代と第2世代の非球面のものがあり、非球面レンズはやはり現代的な描写傾向にあります。エルマリートは卒なく写り、固すぎない表現で使いやすく、どのような状況でも対応しやすいレンズという印象です。


Super Elmar 21mm f3.4 ASPH.

Super Elmar 21mm f3.4 ASPH.



一方Super Elmar 21mm f3.4 ASPH.というレンズもあり、これはライカとしてはSuper Angulon 21mm f3.4の後継機的な位置づけのレンズになります。スーパーアンギュロンの個性を引き継ぎつつ、より現代的にとてつもなく解像するレンズとして評価の高い一本です。


Summilux 21mm f1.4 ASPH.

Summilux 21mm f1.4 ASPH.



また大口径のF1.4を備えるSummilux 21mm f1.4 ASPH.もあります。大口径ゆえの巨大なサイズ感、そして21mmの画角で圧倒的にボケるという夢のようなレンズ。開放でも絞っても最高に写る凄いやつ。超広角で何を写したいかを明確にすれば、このレンズが選択肢に入るのかどうかも決まってくるでしょう。


ライカの21mmのレンズの使い勝手

コンパクトさでいうとスーパーアンギュロンが圧倒的で、軽く持ち運びやすいレンズです。Super Angulon 21mm f4は250g程度。つけっぱなしでも収まりが良いレンズです。スーパーエルマーも同様にコンパクトでライカレンズとしては良いサイズ感です。

エルマリートは少しサイズ感アップ。ズミルックスは580gでライカの中望遠をつけているかのようなサイズ感です。作品を撮るぞという意気込みが多少必要なボリュームではあります。

ライカはコンパクトであることが売りでもあるので、収まり、取り回しの良いレンズならSuper Angulon 21mm f3.4、Super Angulon 21mm f4、Super Elmar 21mm f3.4 ASPH.あたりがおすすめです。

ライカの21mmのレンズのデザイン

21mmのレンズデザインというとやはりSuper Angulon 21mm f3.4が有名です。フード「12501」をつけた造形美が素晴らしく、ライカのレンズの中では5本の指に入るくらいの独自の美しさがあります。Super Angulon 21mm f4は今のレンズにはないシルバーのメッキが美しく、丸いフードも良い雰囲気です。

現代のソリッドなライカのデザインの中ではElmarit 21mm f2.8 ASPH.、Super Elmar 21mm f3.4 ASPH.もとても良い形状のレンズで好ましいデザインだと思える人が多いかと。一方Summilux 21mm f1.4 ASPH.はやや野暮ったく複雑で、ライカらしいスマートさはあまりないですね。ただ、デザインのためにレンズ鏡胴を設計しているわけではないので、最高の描写を追い求めた結果と思うと愛着もわいてきます。

ライカの21mmのレンズの価格

ズミルックスがかなりの高価格帯、スーパーエルマーは暗いF値ながらそれなりの価格がします。その点エルマリートはライカのレンズの中では落ち着いた価格なので手に入れやすいです。そしてスーパーアンギュロンもオールドレンズの中では安価な方なので良い個体でもあまり高騰することがありません。

ライカの21mmのレンズのおすすめポイント

それぞれのレンズについてこの4つのポイントを5段階で表しました。(※個人の見解です)

レンズ/ポイント 描写 使い勝手 デザイン 価格 総数
Summilux 21mm f1.4 ASPH. 5 2 2 1 10
Elmarit 21mm f2.8 3 4 4 3 14
Elmarit 21mm f2.8 ASPH. 4 4 4 3 15
Super Elmar 21mm f3.4 ASPH. 5 5 4 2 16
Super Angulon 21mm f3.4 4 3 5 4 16
Super Angulon 21mm f4 4 4 3 4 15

※描写→大きいほど良い、使い勝手→大きいほど良い、デザイン→大きいほど良い、価格→大きいほど買いやすい

どれも素晴らしいレンズなので買って後悔するようなものはひとつもありません。ただ少しながら優越をつけるとなると上記のような感じです。21mmでボケがどの程度必要か、現代的な描写を求めるのか、それともオールドらしい雰囲気を求めるのか、かなり人によって変わってきますのであくまで参考程度に。また21mmをどれほどの頻度で使うかも、ここにかけられる予算に関わってくるでしょう。

ライカの21mmのレンズの総評

手放しでおすすめできるのはスーパーエルマー

最初の一本に最適なのはエルマリート

描写とデザインが好きならスーパーアンギュロン

独自の表現を求めるならズミルックス

納得して購入したのならそれがあなたにとってのベストレンズです。
それぞれの個性を受け入れつつ、上手く活かせるよう使いこなしたいですね。

補足)Super Angulon 21mmについて

このレンズはデジタルカメラで使うとさまざまな問題が発生します。
1. 画面端に色かぶりがおきる
2. 自動露出がおかしくなる
3. 周辺の像が流れる

1はlightroom等現像ソフトで一発で修正が可能です。現像ソフトを通さずに画像を使用する人は注意が必要。(Lightroom用プロファイルのダウンロード
2はライブビューを使うか、マニュアルで撮る必要があります。
3は絞って撮れば気にならないレベルまでになります。M10ではかなり改善されています。

スーパーアンギュロンは本来コンパクトで使いやすいレンズですが、デジタルでの使い勝手はあまりよくありません。しかし色かぶりの大きいM9でも使う人はいます。やや面倒ではありますがそれでも使いたいという人が多いレンズであることは確かです。

なお、21mmで明るい開放を持つMマウントレンズはライカ以外にも存在します。

Voigtlander NOKTON 21mm F1.4

TTartisan 21mm F1.5

その他にもMマウントの21mmのレンズはいくつかあります。

Voigtlander COLOR-SKOPAR vintage line 21mm F3.5

Carl Zeiss Biogon 21mm F2.8

個人的にはフォクトレンダーのCOLOR-SKOPAR Vintage Line 21mm F3.5 Asphericalはけっこうおすすめです。コンパクトで現代的な写り、スーパーアンギュロンのような手間もかかりません。そして価格もライカと比べるとお安めです。

まずは21mmという画角を試してみたい、とか21mmのボケを味わってみたい、という方には純正レンズ以外の選択肢を取るのも一つの手ですね。

ライカのレンズよりも気軽に手に取れますので、使ってみて自分の撮影スタイルとのフィーリングを確かめるのも良いと思います。

ライカ21mmのファインダー

ライカM型カメラに21mmのブライトフレームはありませんので、必然的にEVFか21mmの外付けファインダーを使うことになります。ちなみに21mmをファインダーなしで目測で画角を測って撮るのはかなり難しいです。

  • 12002(SBKOO)、12024、12025・・・金属製
  • 12008、12012・・・プラスチック製

金属製のものは値が張ります。ライカのアクセサリーはどれも高いですが本当に質がよく仕上げが素晴らしいです。
プラスチックのものでも十分実用性があります。

ライカ21mmレンズの中古情報



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