ライカの75mmのレンズの比較とおすすめ
見逃せない75mmのレンズにおいて、ライカは優秀で魅力的なレンズを出しています。75mmのレンズが一本欲しいとなったとき、どれが最もおすすめなのでしょうか?
準標準レンズとしておすすめのレンズや、このレンズでしか撮れないと思わせるような魔力あるレンズまで、用途やスペックを考慮しながらおすすめレンズを探ります。
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ライカの75mmレンズは使い道にあふれる
PHOTO BY Adam Singer
75mmの画角というのは一般的にはやや存在感が薄いのは否めません。ズームレンズであればズームの開始や終わりの画角でなく途中にあって、意識せずに使う距離かもしれません。
ましてや単焦点となると75mmレンズってどうなの?というのが使うまでの認識として大いにあるでしょう。しかし使ってみると非常に「目の置きどころと合致する」感覚があり、使い勝手の良い画角だったりします。
ちなみに75mmという画角は、50mmの眼から一歩寄ったイメージです。被写体にグッと寄るのが苦手な人、視点の置きどころが50mmよりもちょっと先にある人は75mmが本当の標準レンズになる可能性もあります。
なお、35mmと50mmレンズを携帯していると50mmを使わずに35mmばかり使ってしまう、という人はそこに75mmを入れると明確に新しい視点が入れられるのでおすすめです。35mm & 75mmのレンズの組み合わせはもっと広まっても良い気がしています。
ライカでは75mmのラインナップはそれほど多くはありませんが、どれも個性豊かなレンズが揃っており、むしろこれさえあれば他にはいらないから増えていないのかもしれないと納得できるものとなっています。それぞれの個性や特徴を捉えて自分なりの一本を見つけて75mmデビューをしてみてはいかがでしょうか。ここではライカ75mmレンズのおすすめを紹介していきます。
ライカの75mmのレンズの描写傾向
Summarit 75mm f2.4
まずライカのラインナップの中で中心となるレンズをどれとするのか悩ましいのですが、ここではSummarit 75mm f2.4としたいと思います。なぜこのズマリットを選んだのかというとその他のレンズがどれも飛び抜けて個性的であるため、もっとも常用レンズとして使いやすいのがこのSummarit 75mm f2.4だからです。
このズマリットシリーズは35mm、50mm、75mm、90mmの画角で開放F値2.4というそこそこの明るさを持つライカの中でも中庸なレンズのシリーズです。現代のライカの非常に高い水準の描写能力をしっかりと発揮しつつ、取り回しの良いサイズにまとめあげた、その画角毎の「基本」となるレンズとも言えます。
75mmのズマリットも手に馴染むサイズ感で、75mmのレンズとしては軽いです。大きくぼかした表現でダイナミックに魅せる、といったことは得意ではないですが、「どこで」「なにを撮るか」といった写真表現を追求する方には有力な候補となり得るものだと思います。
Summilux 75mm f1.4
75mmで中望遠の醍醐味であるボケを狙うというのであればやはりSummilux 75mm f1.4が欠かせません。F1.4という開放値で上手く被写体を捉えると大きくボケを活用した非日常な写真が撮りやすいレンズです。そのボケの量としては中望遠の性質もあり50mmのノクティルックスと同等と言われるほど。いつかはズミルックスの75mmを、、と狙っている人も多いのではないでしょうか。
描写傾向としては繊細で甘い雰囲気で、絞ってもあまりカリカリにはなりません。現代的な描写を求める人にはあれ、、?と思う部分もあります。建物など硬質なものより花や人を撮るのに向いているのかもしれませんね。
Hektor 73mm f1.9
ズミルックスよりも以前にこの画角で存在したハイスピードレンズといえばHektor 73mm f1.9です。発売当時は一際高級なレンズだったようで、作りも現代にはない様相をしています。ライカの様々なレンズの中でもこのヘクトールはなかなかの癖玉です。独特な描写がかっちりハマれば唯一無二の絵作りが可能で、一部で非常に人気のあるレンズです。艶めかしい雰囲気のあるモノクロ写真にはこのヘクトールが強い味方になります。
詳しくは下記も参考にしてください。
APO Summicron 75mm f2.0 ASPH.
APO Summicron 75mm f2.0 ASPH.は75mmレンズの中で現代的かつ現実的なレンズです。アポクロマートレンズのためピント部のキレが良く、ボケも非常になめらかです。オールドレンズのような強い癖はないので被写体を選ばず、バランスのとれた繊細かつ力強い描写で他を圧倒しています。
Noctilux 75mm f1.25 ASPH.
中望遠でさらなる大口径レンズを求めるニッチな需要があったのか、最新のレンズとしてNoctilux 75mm f1.25 ASPH.が2018年に新たにラインナップに加わりました。巨大なガラスの塊を抱えて開放で激薄のピントに悪戦苦闘した結果、極上の写りが期待できるという、良くも悪くもすごいものをライカは出してきたな、と感嘆せざるを得ない一本です。唯一無二な表現を求める方にはこれ以上ない選択肢です。
ライカの75mmのレンズの使い勝手
上記それぞれ個性的な描写を持つレンズ群ですが、ライカの75mmレンズの中で使い勝手に優れるものはどれでしょうか?
まず群を抜いて使いやすいのはSummarit 75mm f2.4だと思います。程よいサイズ感と軽量による負担の少なさ、そしてそもそもピーキーな仕様でないため道具としての使いやすさは一番だと思います。
次にコンパクトさという点でHektor 73mm f1.9です。リッチな外装から来る「ライカを触っている高揚感」があるのもポイントが高いです。フードも逆さ付けできますのでそれほどかさばりません。
ヘクトールとほぼ同じ重量感なのがAPO Summicron 75mm f2.0 ASPH.です。大口径なのでサイズはそれなりですが組み込み型のフードで使い勝手は上々です。ボディとのバランスもぎりぎりのラインというところでしょうか。
Summilux 75mm f1.4になるとかなりヘビーな重量&サイズ感になります。これはズミルックスの描写に魅せられた方に課せられた儀式だと思うしかないですね。あのボケが得られるなら、、と思えるならアリだと思います。Noctilux 75mm f1.25 ASPH.は言うまでもありません。体を鍛えるのにはぴったりのレンズです。携帯性は皆無なのでスタジオ撮影メインのプロユースレンズかなと。
ライカの75mmのレンズのデザイン
レンズのデザインは好みによるところが大きいのでどれが一番というのはないのですが、個人的にはSummilux 75mm f1.4の後期のデザインが素晴らしいと思います。バランスのとれた鏡胴と組み込みフードの姿が美しいです。Hektor 73mm f1.9はバルナックライカに合わせるとやはり同時代の設計思想の合致を強く感じられます。ヘクトールは外装のバリエーションが多いので、手持ちのカメラにどれが合うのかじっくり考える楽しみもあります。
モダンなM型ライカにはSummarit 75mm f2.4やAPO Summicron 75mm f2.0 ASPH.は難なくフィットし、現代的な被写体を選んで撮りたくなるような気持ちにさせてくれます。
ライカの75mmはどれも良いデザインなので性能や使い勝手で選ぶのが良さそうです。
ライカの75mmのレンズの価格
おおよそですが中古価格は下記の順に高くなっていきます。
Summarit 75mm f2.4、Hektor 73mm f1.9、APO Summicron 75mm f2.0 ASPH.、Summilux 75mm f1.4、Noctilux 75mm f1.25 ASPH.
ズマリットは供給が少ないのかあまり出回りません。ヘクトールは状態の良し悪しやバリエーションによって大きく価格が変わります。アポズミクロンとズミルックスは安定した価格帯に落ち着いています(ライカ全体が徐々に値上がりはしています)。
ライカの75mmのレンズのおすすめポイント
それぞれのレンズについてこの4つのポイントを5段階で表しました。(※個人の見解です)
レンズ/ポイント | 描写 | 使い勝手 | デザイン | 価格 | 総数 |
---|---|---|---|---|---|
Noctilux 75mm f1.25 ASPH. | 5 | 2 | 3 | 1 | 11 |
Summilux 75mm f1.4 | 4 | 3 | 4 | 2 | 13 |
Hektor 73mm f1.9 | 4 | 5 | 4 | 3 | 16 |
APO Summicron 75mm f2.0 ASPH. | 5 | 4 | 4 | 3 | 16 |
Summarit 75mm f2.4 | 4 | 5 | 3 | 4 | 16 |
Summarit 75mm f2.5 | 4 | 5 | 3 | 4 | 16 |
それぞれのレンズが用途がはっきりと分かれるため総数がどれほど意味合いを持つかは不明ながら、一応このような結果となりました。いやはやしかし実情として75mmを手に取ろうとするとHektor 73mmm f1.9、APO Summicron 75mm f2.0 ASPH.、Summarit 75mm f2.4の3レンズが選択肢にあがってくる気もします。Summilux 75mm f1.4はあの描写に魅せられたなら否応なく自身のラインナップに加えるでしょうし、Noctilux 75mm f1.25 ASPH.も手に取る必要に迫られれば同様でしょうか。
ライカの75mmのレンズの総評
勝手ながら使い勝手や描写性能、価格帯などを考慮してラベリングしてみました。
幻想的な光を求めるならヘクトール
特殊な味付けをせずストレートに写真をしたいならズマリット
50mmの代わりとしてオールマイティなのはアポズミクロン
大胆かつ繊細な表現ならズミルックス
すべてを凌駕したいならノクティルックス
懐古主義的な絵作りをしたいのか、幻想的な芸術写真を撮りたいのか、もしくは隅々まで解像しているクリーンな画像を求めるのか等々、目的によってレンズ選びは大きく変わってきます。チョイスに迷ったらアポズミクロンという選択肢が非常に大きいのですが、このアポズミクロンでは出せない個性的な性能を各々が持っているというこの事実。もちろん表現媒体や用途によって使い分けるというのが強者の理論ではあります。ライカレンズは資産になりますので、まずは自分の表現にあったものを選んで一通り使用したら手放して別のレンズも試してみる、というのも良いでしょう。
ちなみにライカ以外にも75mmの候補はあります。
Nokton vintage line 75mm f1.5 Aspherical
Heliar classic 75mm f1.8
Color-Heliar 75mm f2.5
ライカと比べるとどれも安価で手を出しやすいです。比較的新しい設計のNokton vintage line 75mm f1.5 Asphericalは美しくコンパクトな鏡胴と豊かなボケ味で定評のあるレンズです。
またHeliar classic 75mm f1.8は長く愛されている良レンズでコストパフォーマンスではピカイチでしょう。Color-Heliar 75mm f2.5はやや地味な存在感のように捉えられますが、色乗り良く硬すぎない描写で使い勝手あふれるレンズになっています。
ノクトンとカラーへリアーはシルバー鏡胴のレンズもありますので、カメラとレンズをシルバーで統一したいという方にもおすすめです。
ライカ75mmのファインダー
75mmの視野枠は基本的にブライトフレームで確認できますが、もっと直感的に確認したいという場合にEVF、もしくはアナログの光学ファインダーを使うのも良いと思います。ちなみにライカから正式に75mmのファインダーは出たことはなく、Hektor 73mm f1.9専用の7.3cmファインダーとして「SAIOO」がライツ時代に出されたのみとなります。
なお75mmのファインダーはフォクトレンダーから出たものがあります。現状ではこちらが現実的かもしれません。
ライカ75mmレンズの中古情報
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