レンズ構成で楽しむライカオールドレンズ

レンズ構成で楽しむライカオールドレンズ

レンズ構成図、興味ありますか?オールドレンズに興味のある人ならば一度は目にしたことはあるであろう、あのガラスがどう構成されているか図解したものです。

頻繁にレンズの解説ページなどに出てくるけれど、よく分からない。覚えたほうが良いのかもしれないけど難しそう。もしくはそもそも興味湧かない、という人もいるかもしれません。

そう感じている人にこそ読んでもらいと思いまとめました。なるべく簡単にざっくりと記載しているため、厳密には異なる部分もありますが、大まかに理解したいという人へ、行ってみましょう。

オールドレンズの構成を知ることで得られるメリット

レンズ構成で楽しむライカオールドレンズ

まず、そもそもレンズ構成って設計者やレンズを売るプロならともかく、写真撮る人に関係あるの?という疑問です。

私自身も写真をはじめてしばらくはあまり興味がなく、理解しなくても写真は撮れるだろうし自分には関係のないものだと思っていました。

しかしレンズに対して興味が深くなり調べれば調べるほどに避けて通れなくなってきたので、重い腰を上げて少しずつ勉強していきました。初めに読んだ本はこちら。ざっと読むだけでも全然変わってくると思います。

そしてレンズ構成をある程度見れるようになってどうなったのか、という結論としては、「使ってみないとよく分からないと思われるレンズも、レンズ構成でそこそこ性質が分かる」ということです。

つまりあのレンズ気になるなー、でも作例見てもいろんなテイストあるしよく分からんなー、というとき、オールドレンズであればある程度傾向がわかります。また同じレンズ構成の他のレンズを調べれば、更に分かりやすくなります。

つまりレンズ構成が分かれば、自分が欲しいレンズのチョイスがしやすくなったり、撮影スタイルに合わせたレンズ購入のロードマップに近づきやすくなります。そしてあれでもない、これでもない、と博打でレンズを売買することが減ります。

またレンズ話に花が咲くということもメリットのひとつでしょうか。構成図が分かればいっぱしのレンズ通になれます。でも中には本気のレンズマニアがいてあやふやなことを言うと論破されたり、不毛な議論になる可能性もあるのでまぁほどほどに(笑)。

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オールドレンズの構成のベーシックな4タイプをおさえる

まずは基本的なレンズ構成を覚えることでその他の構成も応用がきいてきます。基本構成を紹介します。

レンズ構成その1:Triplet トリプレット

Triplet トリプレットのレンズ構成図

トリプレットとは3枚のガラスだけでレンズを構成する形式です。1890年代に生まれました。3群3枚なのでガラスをあまり使わず、そしてガラスを張り合わせしないので安価にすみます。そしてレンズの数が少ないので抜けがよく、比較的よく写ると人気でした。

Triplet トリプレットの発明者

ハロルド・デニス・テーラー

Triplet トリプレットの特徴とまとめ

  • ガラス3枚で出来ている
  • 描写が安定していて安価
  • 抜けが良い

Triplet トリプレットのレンズ構成のライカレンズ



レンズ構成その2:Tessar テッサー

Tessar テッサーのレンズ構成図

トリプレットのライバル、テッサー。1900年初頭生まれ。アナスティグマットという型を改良した3群4枚。今となっては非常にシンプルな構成です。とにかくシャープで先鋭な描写が代名詞で長い間愛された構成。ツァイスのテッサー以外にも多くのテッサー型がある。

Tessar テッサーの発明者

パウル・ルドルフ

Tessar テッサーの特徴とまとめ

  • 長期間いろんなテッサーが生まれた
  • 作りやすくシンプルな構成で性能が高い
  • コントラストが高くシャープに見えやすい

Tessar テッサーのレンズ構成のライカレンズ




レンズ構成その3:Double Gauss ダブルガウス

Double Gauss ダブルガウスのレンズ構成図

ダブルガウスの生まれは1890年代。ガラスの貼り合わせは少なめ。概ね左右対称になっている。コマ収差からフレアが、空気接触面の広さからコントラスト低下が起こりやすかったが、技術の進歩、一眼レフの普及とともに広がったレンズ構成。大口径を実現しやすい。ダブルガウスの有名なレンズとしてはツァイスのプラナーがある。

Double Gauss ダブルガウスの発明者

パウル・ルドルフ

Double Gauss ダブルガウスの特徴とまとめ

  • シンメトリーな構成
  • 初期はフレアやコントラスト低下が起こりやすかった
  • 解像力が高い

Double Gauss ダブルガウスのレンズ構成のライカレンズ




レンズ構成その4:Sonnar ゾナー

Sonnar ゾナーのレンズ構成図

レンズの張り合わせがやや多く複雑な構成のゾナー。エルノスターという型を改良したもの。1931年生まれ。前群で収差を調整して、後群で回収するようなイメージ。よって構成がぎりぎりのバランスで成り立っているので、ゾナーの変型タイプはあまりない。描写は安定感があり重みを持ちながらもまったりとしたクリアな印象。

Sonnar ゾナーの発明者

ルードヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ

Sonnar ゾナーの特徴とまとめ

  • 大口径ながらも小型に作りやすい
  • 良好なコントラスト
  • 糸巻き型の収差が出やすい

Sonnar ゾナーのレンズ構成のライカマウントレンズ



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オールドレンズの構成でよく出てくる有名なレンズ設計者

有名なレンズ設計者も簡単に知っておきましょう。よく出てくる人たちです。

ヨーゼフ・マックス・ペッツバール

ダゲレオタイプという人物撮影写真を可能にした立役者。明るい開放値のレンズを設計し、ペッツバールレンズとして大きく広まった。

ハロルド・デニス・テーラー

トリプレットレンズを生み出した人物。クック社で働き、後にテーラー&ホブソン社からトリプレットを出す。その珍しいレンズ構成から一気に人気を博する。

パウル・ルドルフ

ツァイスの光学設計責任者だった人物で、ダブルガウス型のプラナー、テッサーを開発。その後ヒューゴ・メイヤー社にてキノプラズマート等、ライカマウントのf1.5の先進的なレンズを製造。

ルードヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ

エルネマン社でトリプレットを改良したエルノスター型を開発。その後ツァイスに移り、ゾナーを設計。大口径で写りの良いゾナーは世界に浸透する。

追加で覚えると楽しめるオールドレンズ構成

あとは好みで気になるレンズ構成を覚えていくと良いと思います。何となく知っておけば引き合いに出されたときに理解が早いです。

Petzval ペッツバール

ガラス4枚で構成した初期の構成。収差がまだまだ多くぐるぐるボケが出やすい。大判レンズなどに多い。

Kino plasmat キノプラズマート

戦前に作られた大口径レンズの構成。向かい合わせにメニスカスレンズを配置した特徴的な構成。元はシネマ用。中心は高解像度で写しながら、背景はぐるぐるボケが出やすく、一風変わった立体感が人気。

Ernostar エルノスター

トリプレットとゾナーの中間に位置する構成。4群4枚でトリプレットに1枚足した形。やや甘さが残る写りが逆に新鮮。

Topogon トポゴン

左右対象のレンズ構成で広角レンズに使われた。かなり曲がったガラスを配置することで上手く収差を抑えている。

Retro Focus レトロフォーカス

焦点をバックさせたという意味のレトロフォーカス。バックフォーカスが長いので一眼レフによく使われた。エルマリート28mmが有名。

Xenotar クセノタール

前群ダブルガウス+後群トポゴンという構成のクセノタール。解像度が高くローライフレックスのレンズとしても有名。

Biogon ビオゴン

左右対称のレンズ構成が特徴のビオゴン。歪曲収差をよく補正して歪みなく写せるためレンジファインダーの広角レンズはこのビオゴン型が多い。

レンズ構成で楽しむライカオールドレンズのまとめ

レンズ構成で楽しむライカオールドレンズ

どうしても詳しく知ろうとすると光学的に専門化していくレンズ構成図の世界。実際にはこのレンズ構成だけでなく、レンズの状態やコーティング、硝材など様々な要因によって描写は形成されていきます。

また最新のレンズはレンズ構成が複雑に設計されてます。シンプルなレンズ構成で把握できるのはオールドレンズに限ります。

写真ってぶっちゃけ出てくる絵がすべてです。科学的な側面だけで描写を語り尽くせるわけではないのですが、それでもレンズを語る上での豆知識としてこういった知識は持っておいても損はないと思います。

以上、レンズ構成の世界でした。

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ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。

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