レンズ一本に絞るならどれにするか?

レンズ一本に絞るならどれにするか?

レンズの悩みはいつも多様だ。とにかくたくさんレンズが欲しいと思うときもあれば、一本のレンズで十分なんじゃないかと急に腑に落ちることもある。また荷物の関係でどうしてもレンズを一本に絞りたいときも多々ある。

「レンズ一本に絞るならどれにするか?」この問題をちょっと深く考えてみよう。

レンズ一本に絞るのは何を求めるかと撮るかで変わる

レンズ一本に絞るならどれにするか?

これを言ってしまうと元も子もないのだけど、レンズ一本に絞るのは「レンズに何を求めるか」と「何を撮りたいか」で変わるんですよね。

しかしこんなありふれた結論では面白くないので、「レンズの能力の捉え方」や「シチュエーション毎」にどういったレンズが選択に残ってくるのかを考えてみたい。

レンズ一本に絞るためのポイント

レンズ一本に絞るならどれにするか?

ここでまず重要なのは、自分が普段撮りたいと思う「被写体と自分との距離感」を把握することだと思う。

至近距離でまじまじとものを見つめてその魅力や感じ取るものを写真に表現したい人は50mmレンズが適しているだろう。

被写体の置かれている状況や周囲との関係性を写したい人は21mmから28mmなどの広角よりになると思う。

また、ある程度離れたところから被写体のプライベートな空間へすっと入り込むような見方が好きな人は望遠が適している。

この自分の「ものの見方と被写体の距離」こそがレンズを一本に絞る上で画角を決める大きなポイントになる。

これが28mmという人もいれば、135mmという人もいる。一般的には35mmや50mmが多いと思う。この画角が「自分のものの見方」と異なってしまうと、一般的に撮りやすい画角のレンズを使っても違和感が拭えない、といった状況になる。

レンズ一本に絞るための方向性

レンズを一本に絞るためにはレンズを選ぶ方向性も大事になる。レンズを撮影のための道具として見たときに、「どういった使い方を想定してどうやってレンズを活かすのか」それが重要になってくる。以下、いくつか一本に絞るための方向性を考えてみた。

究極のレンズ一本にする

わかりやすいのが最高のレンズ、いわゆる究極の一本といわれるようなレンズを一本だけ所持すること。この究極の一本という考え方もメーカーや撮り手の考え方によって様々なのだけど、ライカでいうとわかりやすいところではノクティルックス 50mm F0.95のような超大口径レンズを選ぶこと。

50mmレンズとしてはこれ以上とないスペックなので、ボケに関しては撮れない表現はないとも言える。ただし重量級なのでこれを常に携帯するにはかなりの潔さが必要になる。大は小を兼ねるというがはたして。

どんな状況にでも耐えうるレンズ一本にする

人間と同じでレンズにも様々な性質があって、顔が広くて誰とでも仲良くなれる、そんなレンズがある。ライカにおいてそういう立ち位置のレンズはズミクロンだ。

35mmでも50mmでも、ズミクロンのレンズはとにかく被写体を選ばず、撮りたいと思ったものを確実に捉えて写真表現を後押ししてくれる。レンズとしての描写の癖は少ないので自分でいかようにも味付けでき、もし自分の好みが変化してもそれに耐えうる懐の深さがある。

現実的な選択肢として、レンズ一本にするなら結局のところこういうレンズが候補になりそうだ。

一本で使いこなし甲斐のあるレンズを選ぶ

レンズ一本に絞るならどれにするか?

レンズは光学的に見ていくといろんな側面があり、様々な要素の組み合わせで表情を大きく変える。

例えばあるレンズは前ボケが美しかったり、逆に後ろボケはやや癖のある表現だったり、近接が苦手だったり、有機的な表現に定評があったり…まぁいろいろだ。

そういった多様な表情を持つレンズ、逆にいえばちょっと掴みどころがないというか、使うのが難しいレンズほど使いこなし甲斐があるというものだ。定番ではズミルックス 35mmの第一世代、ズミクロン 35mm初代の8枚玉、タンバール90mmも使いこなしが難しい。レンズは絞ってしまえばそれなりにどれもよく写る。だからこそ開放で大きく変化するようなレンズは1本で二度おいしい。


一本だけなら個人的にオススメのレンズ

もし手持ちのレンズを一本だけにするなら、、こうやって考えたときに個人的におすすめのライカレンズを上げてみようと思う。

Summilux 28mm f1.4 ASPH.

Summilux 28mm f1.4 ASPH.
実売価格を見る

Summilux 28mm f1.4 ASPH.のレンズ構成図

レンズ種類
単焦点レンズ
レンズ構成
7群10枚
マウント
ライカM
焦点距離
28mm
F値
1.4
画角
75°
重量
440g
最短撮影距離
0.7m
フィルター
E49
フード
12468
製作年
2015-
カラー
ブラック / シルバー(限定)
市場価格
約600,000-800,000円


これは非常に悩んだ。けれど今の自分の最適解として、このsummilux 28mm f1.4が一本に絞るなら最高のレンズになると思っている。

まず画角は28mmなのでスナップと風景写真に使うには抜群に良い。そしてF値は1.4なので28mmといえどボケを活かした表現ができる。これによって見せたいものを取捨選択するという表現が加わる。

また、最近のデジタル機であればズームやトリミングも駆使することで、ライカQシリーズのようにクロップで35mm、50mmのように使うことも視野に入れられる。

そしてレンズとしてのデザインが良いのもポイントが高い。

何だかんだで汎用性に富むのが28mm、本当に一本だけにするならこのズミルックス28mmにするだろう。

Summilux 50mm f1.4 ASPH.

Summilux 50mm f1.4 ASPH.
実売価格を見る

Summilux 50mm f1.4 ASPH.のレンズ構成図

レンズ種類
単焦点レンズ
レンズ構成
5群8枚
マウント
ライカM
焦点距離
50mm
F値
1.4
画角
47°
絞り羽根数
9枚
重量
335g
最短撮影距離
0.7m
フィルター
E46
フード
組み込み
製作年
2006-
カラー
ブラック / シルバー
市場価格
約400,000-450,000円


おそらくこちらのほうが納得する人は多いだろう。ズミルックス50mmの最新の非球面タイプはとにかく写りが良い。ライカの中でも完全無欠なイメージがある。50mmであるから撮りたいもの、オブジェクトを明確に設定しやすいタイプの撮り手であればこれにまさるものはないと思う。実際に使っている人が多く、ライカの最新レンズ群の中でもとりわけ人気がある。

しかし個人的にレンズを一本に絞るならもうちょっとだけ広角よりにしておきたい気もする。もしライカで40mm F1.4があればそちらをチョイスするだろうな。出ないだろうか、ズミルックス40mm。フォクトレンダーにはあるのだけど。


レンズ一本に絞るメリット

レンズというのは面白いもので、自分が変化することで新しい表情をみせ、その使い方も多様性に満ちてくる。

例えば本は幼少時に読んだときにそれほど気づきがなかったとしても、大人になってから読むと大きな発見があったりする。本とレンズは似ているところがあって、自分がどれだけそのレンズの魅力を引き出せるかは、撮り手の能力によって変わる。

10年以上使っているライカのレンズが数本あるが、それらは何度売り払ってしまおうと思ったか数えきれない。でも何だか手放せなくて、ずるずると使っていたら新しい発見があり…を繰り返した。結果的にそのレンズの魅力を想像していた以上に引き出せたと思う。

レンズ一本に絞るメリットはまさに、そのレンズを使いこなすことで見えてくる景色を何度も塗り替えられることだ。

物理的に時間的にも無理なのだけど、すべてのレンズをこうやって長い時間をかけて使ってみたいと想像することがある。

はじめはみんなレンズ一本だった

はじめてレンズ交換式カメラを買ったとき、みんな最初はレンズ一本だったはずだ。このレンズを使いこなしてやろうと意気込んでいたものの足りないところや気に入らないところが出てきて、もっと自由に、もっと個性的に、もっと使いやすく、と他のレンズに移り気になっていく。子供はおもちゃひとつにびっくりするくらい想像力を働かせて遊び尽くすが、これは大人も見習いたいところ。

レンズ一本に絞るならどれにするか?

実際に一本に絞らなくてもこの考えはレンズに対する豊かさを引き出すことに繋がっていると思うのは私だけでないはず。

X(@soyumn)やってます。
ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。

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