【ライカQ3総まとめレビュー】Q3の魅力や買うべき人、M型との違い、Q2からの買い替えも
ライカの大人気カメラ、ライカQ2の後継モデルであるライカQ3が登場しました。Q2からの違いや良いところ悪いところを踏まえ、買い替えを悩んでいる人、新しくライカを購入してみたい人、またすでにM型を持っていてサブ機として購入を検討している人などに向けてレビューしながら、ライカQ3の総まとめ的にあらゆる角度からこのカメラを見ていこうと思います。
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CONTENTS
ライカQ2とライカQ3の主な違い
まずはライカQ2からの変更点、アップデートされた点についてです。
使い勝手の違い
- 背面操作が右手だけで完結するようになっている
- 液晶モニターがチルト式に
- バッテリー容量が更に増えた
- 90mmのクロップが追加
機能やスペックの違い
- 有効画素数が6000万画素に
- 像面位相差AFが追加され、AFスピードアップ
- EVFが576万ドットで高精細に
- 最大30pの8K動画撮影
- ポート類が追加(USB-C/micro-HDMI)
価格の違い
- 価格が70万から90万に
使い勝手はかなり向上して、かゆいところに手が届くようになった感じです。特にチルト式の液晶モニターは大きいですね。機能面やスペックについては順当に向上していて、「あると嬉しい」を実現化しているイメージです。オートフォーカスのスピードがかなり上がっているのでこれをストリート等でどう使うかで写真ライフが大きく変わってきそう。
ライカQ3の魅力をレビュー
テーマは繋がるカメラ、ライカQ3
ライカQ3はライカのプロダクトマネージメント部長のイェスコ・フォン・エーンハウゼン氏が言うように、スムーズに被写体と撮影者がレンズを通して繋がるカメラです。
これはどういうことかというと、ライカQ3ではマクロから90mm望遠まで被写体を選ばずに簡単に撮影できます。レンズ交換も必要ないし、一台でスムーズに撮りたいものを撮れるわけです。そして動画も8Kで撮影できます。それもF1.7のズミルックスで。写真から動画まで、用途やクリエイティブに合わせてスムーズに機能する、これがこのライカQ3の最大の魅力だと思います。
M型ライカとの比較
ライカの主力製品であるM型は写真撮影の本質に踏み込むカメラだと思っています。余計な機能を省き、写真において本当に重要なことにフォーカスすることで、いつでも写真の本質に迫ることができる。そういうカメラです。
M型ライカでは最短撮影距離がほぼ70cmだし、それより寄ろうとするとクローズアップレンズやエクステンションチューブなどが必要になります。だから撮るものを決めて、それに合う単焦点レンズを選んで、選択肢をあえて狭めることで主題に大いに迫る、こういう使い方がM型の醍醐味です。
M型は拡張性と写真表現の真髄を、ライカQ3は被写体との接続のスムーズさを、それぞれの万能性を備えたカメラだと思うわけです。
ライカQ3の用途
写真を撮って更に動画も撮る。広告関係や制作の仕事ではこういう案件はけっこう多いと思います。例えば取材で動画で一部始終撮影して、その合間のカットもハイクオリティで残しておいて後で記事にしたい、などなど。
小規模のクリエイティブスタジオでカメラを用意する場合、一眼レフや動画機材などを個別に揃えるよりも断然このライカQ3一台でまとめてしまうのが良さそうです。あとはジンバル等予備機材で補えば大体のことがこなせるはず。
ライカQ3の欠点
こういった新製品を取り上げるとき、メディアでは良いことばかり書いていると思うので、ちょっとライカQ3の欠点も見ていこうと思います。
ライカの拡張性と無限の可能性
ライカのライカたる所以はそのレンズの多様さだと思っています。エルマーから最新のアポズミクロン等まで、これを撮る目的やシーンに合わせて選び組み合わせることで無限の可能性が開かれる。そしてそこにはまり込む無限の沼があります(笑
レンズ固定のライカを買うというのは、こういった歴史と拡張性を放棄することであり、「現時点でのライカの集大成」をただ単に買うということになります。しかしそれはいつか色褪せて見えることがあるかもしれません。
ライカは高いです。Q3の販売価格は90万円。一体型カメラとしては破格だと思います。ライカという名前に踊らされているのではなく、本当にライカQ3の絵作りが好きなのかどうか、価格に見合うものなのか、考える必要はあると思います。
ポートレート専門なら28mm開始はどうなのか
もしあなたが人物をよく撮りポートレート写真が好きなら、ライカQ3に大きな期待はできないかもしれません。ポートレートは距離が大切です。ライカQ3はとてもキレイなボケが得られますが、基本的に広角レンズなので寄りの写真を撮るには極端に近づくかクロップが必要になります。ちなみに90mmでクロップすると600万画素になります。
あくまでライカ的写真追求のカメラ
ライカQシリーズは28mmのレンズを採用していますが、これがライカらしいなと私は思います。ライカというのはルポルタージュ等、眼前の状況を伝える写真によく使われてきました。極端な望遠やマクロで非日常を作り込むというよりありのままの状況を伝える写真が得意なわけです。もしあなたがそういう写真に興味がないのなら他メーカーのほうが相性が良い可能性はあります。
オートフォーカスの弊害、飽きるのが早いかも?
これはライカQ3がというよりカメラ全般の話ですが、写真を撮ることをずっと楽しみたいなら私はマニュアル+単焦点をおすすめしています。「自分で撮ること」が写真の意図を作ることに他ならないからです。オートフォーカスはそのあたりを曖昧にします。もちろんライカQ3はマニュアルでも撮れますが、オートがあるとオートを使ってしまうんですよね。ライカQ3から写真に入って、写真にすぐに飽きなければ良いなと思います。
いろいろ欠点について書いてしまいましたが、こういった問題を一度考慮しておけば、きちんと納得した上でライカQ3を迎えられるのではないでしょうか。
ライカQ3の価格は高いのか
ライカQは55万、Q2は70万、Q3は90万です。どんどん上がっています。諸々の情勢も込みではありますが。こうなるとこれまでM型よりも一体型で安く買える!みたいなメリットは影を潜めた形になります。
この記事を書いている段階で90万円を出せば、ライカM Typ240 + エルマリート28mm 第5世代、ライカM10 + エルマリート28mm 第2世代くらいは買えそうです。あとはお安めの50mm f2も買えるかもしれません。
もちろんライカQ3は一台で何役もこなせるのがメリットだし、M型に苦手なマクロもいけちゃいます。そしてエルマリート28mmはf2.8なのでボケの大きさでもQ3に軍配が上がります。
それでもM型の拡張性を考慮すると同じ90万だとどちらが良いのか、個人的には悩ましくなってきていますね。
ライカQ4を勝手に予想してみる
Q4ではレンズの開始の焦点距離を変えて3台展開などしてもらえたら消費者的にはもっと面白くなると思います。もしくは、超広角、標準、望遠でQ4専用レンズが取り替えられる仕組み。まさにライカTに用意されたズームレンズがこんな感じだったと思います。しかしそうなると一体型だからこそのレンズ設計、防塵防滴の問題、製造規模の問題、価格の問題などいろんな課題が出そうなので現実的に難しいだろうなとは思いますが。
ライカQ3のクロップごとの画素数について
ライカQ3の画素数は6000万画素になりました。こうなるとクロップ耐性もかなりのものです。画角ごとの画素数を見てみます。
28mm – 6000万画素
35mm – 3900万画素
50mm – 1900万画素 (M9と同等)
75mm – 800万画素
90mm – 600万画素
一方ライカQ2は以下のような形でした。
28mm – 4730万画素
35mm – 3000万画素
50mm – 1470万画素
75mm – 660万画素
こうやって見るとQ2で75mmを使えていた人は現実的にQ3で90mmの画像も扱えそうです。webやSNSで運用するなら画素数を気にせずどんどんクロップして活用できそうな感じ。
ライカQ3のメリット・デメリット
さていろんな角度からライカQ3について見てきましたが、アップデートされた情報を元にライカQ3のメリット・デメリットを考えてみます。
ライカQ3のメリット
- 一台で何役もこなすマルチカメラ
- とにかくQ3を一台持っていれば日常写真で困らない
- Q3で写真に必要なものがある程度完結する
- ストリートフォトでウエストレベルで気づかれずに撮るならチルトが便利
- 人物のAFシステムがパナソニックと同等のものでかなり高性能
- 外部端子やワイヤレス充電で運用しやすい
- アクセが増えて多少カスタマイズできるのが嬉しい
ライカQ3のデメリット
- レンズ交換ができずテイストが固定される
- 可能性や拡張性はM型に劣る
- 起動時間が3秒ほどかかるので速射に向かない
- 望遠、ポートレートに向かない
ライカQシリーズの人気はオールマイティさだと思います。これまでそういうカメラをライカは幾度も作ってきましたが、大体開始F値が暗く一般受けしないカメラではありました。
そこで最新の画素数を有効に使い、デジタルズームでクロップすることでマルチに撮れ、更に明るいズミルックスでボケも得られるカメラを出したわけです。やはりライカにはボケが求められている、それを裏付けしたような結果になっていますね。
ライカQ3を使うべき人、向いている人
新しくカメラを探していてライカが気になっている、そんな人も多いと思います。ライカQ3に向いている人、Q3を買うべき人の属性を考えてみます。
- マニュアルにこだわらずにどんどん写真を撮りたい人
- 画質に妥協はしたくないが機材はコンパクトに収めたい人
- ライカを使う高揚感を体感したい人
- レンズ沼で悩まずに写真表現に集中したい人
- オールドレンズやマウントアダプターで散財したくない人
- マクロ撮影や地面に近い花の撮影などにこだわりたい人
- 日常的に写真を高いレベルで撮りたい人
カメラやレンズマニアになりたいのではなく、写真を本格的にやりたい。そういう人にはライカQ3はぴったりだと思います。
そして、ライカというと求められる知識量が多そうだし深い世界が広がっていてよく分からない、、何を選んだら良いかも分からないがなんだかライカに惹かれる。こういう人にとってもライカQ3という選択肢はとても魅力的なはずです。なんせ現状でライカが最も良いと思う形をコンパクトにまとめてくれているのですからね。
ある意味ライカQ3を使い倒せばライカの真髄に触れられると思います。更にM型に興味が出た人はそのときにM型を知っていけば良いと思いますし、レンジファインダーではなくQシリーズと同じミラーレスの使いやすいSLシリーズもあります。
ライカに少しでも興味を持った人がライカの導入として、もしくは究極の最後の選択肢としても選べるカメラがライカQ3だと私は思います。
ライカQ2からライカQ3に買い替えるべきか、今買うならQ2かQ3か
すでにライカQ2を持っている人がライカQ3に買い替えるべきか、そしてこれからQシリーズのカメラを買うならQ2かQ3か、この点はどうでしょうか。
- 厚みが増した(約1mm)のでとにかくフィーリングを大切にする人はQ2のままで良い
- 重量はほぼ違いがないのでスペックで考えるべき
- バッテリーはよく持つようになっているので新しく買うならやはりQ3
- EVFがかなり解像度高いので没入感はQ3が良い
- ハイアングルやローアングルでよく撮る人はチルトできるQ3
- 中古の価格差はQ2とQ3でけっこうあるので、その価格差と性能差をどう捉えるか
- 解像度の違いは写真表現にそれほど影響なし
ライカQ2は相変わらずとても人気なので、ライカQ2を持っている人は売ってしまってそのお金でQ3を買うのもひとつの手ですね。使い勝手は限りなく良くなっているので予算が潤沢にあるのであればやはりQ3をおすすめします。とはいえライカQというフォーマットが好きで、多くの機能を望まないのであればQ2もまだまだ選択肢に上がってきそうです。
ライカQ3とM型ライカの比較、使い分け
M型ライカを使用している人でもライカQシリーズを使っている人は多いです。ライカQ3とM型ライカのどちらを買うか悩んでいる、もしくはすでにM型を持っているが更にライカQ3が欲しい、そういった人達に向けて使い分けを考えます。
- 写真を見る目が育っているならライカQ3はどんどん撮りたいように撮れて楽しい
- 何を見て何を撮るか、写真にちゃんと向き合いたいならM型が有利
- 起動後の速射性はもはや同等。オートのあるQ3のほうが確実に撮れる場面もある
- 写真に向き合いすぎて疲れたときはQ3で気楽に撮るのが良い
- Q3は起動時間があるので、やはりパッと見たものをすぐ撮れるのはM型
- 写真表現はM型、日常使いはQ3が最高
どちらも一長一短ではあるので悩ましいですね。でもこれを悩んでいるときも楽しいと思いますので、たくさん悩んで下さい。一つ言えるのは、ライカQ3とM型ライカ、二台あれば写真ライフが充実することは間違いないってことです。
ライカQ2とライカQ3の見分け方
ホットシューにある刻印 「LEICA Q3」のナンバリングで見分けるか、シャッターボタンが黒ならライカQ2、シルバーならライカQ3です。
ライカQ3の作例
ライカQ3の作例を見られるサイト
ライカQ3の作例はこちらから見ることができます。ライカQ3の仕様、発売日、価格
ライカQ2とQ3の仕様を比較しました。
モデル | ライカQ2 | ライカQ3 |
---|---|---|
発売日 | 2019年3月23日 | 2023年6月3日 |
価格 | 70万円程度 | 90万円程度 |
撮像素子 | フルサイズCMOSセンサー | |
有効画素数 | 4730万画素 | 6030万画素 |
レンズ | ズミルックス 28mm f1.7 ASPH. | |
焦点距離・画角 | 1.25倍(35mm相当)、 1.8倍(50mm相当)、 2.7倍(75mm相当) |
1.25倍(35mm相当)、 1.8倍(50mm相当)、 2.7倍(75mm相当)、 3.2倍(90mm相当) |
絞り | f1.7~f16(1/3EV ステップ) | |
最短撮影距離 | 30cm(マクロモード17cm) | |
レンズ構成 | 9群11枚(非球面レンズ3枚) | |
シャッター | 60~1/2000秒(メカニカル)、 1/40000秒(電子シャッター)、 フラッシュ同調速度:1/500秒 |
120~1/2000秒(メカニカル)、 1/16000秒(電子シャッター)、 フラッシュ同調速度:1/2000秒 |
ISO感度 | 50~50000 | 50~100000 |
ダイナミックレンジ | 13段 | |
測光方式 | マルチ測光、中央重点測光、スポット測光 | |
手ブレ補正機能 | 光学式(静止画および動画) | |
電子ビューファインダー | OLED 有機EL約368万ドット | OLED 有機EL約576万ドット |
モニター | 3.0型TFT タッチパネル式 液晶モニター 約104万ドット |
3.0型TFT タッチパネル式 液晶モニター 約184万ドット |
対応メディア | SDXC UHS-II x1 | |
記録画像形式(静止画) | DNG、DNG + JPEG、JPEG | |
記録画像形式(動画) | MP4(C4K、4K、フルHD) | MP4: H.265/AAC、H.264/AAC、 MOV: H.265/LPCM、H.264/LPCM、 ProRes LPCM |
フレームレート | C4K 24fps、4K(3840x2160) 30/24fps、フルHD 120/60/30fps |
C8K 30fps、8K 30fps、C4K 60fps、4K 60fps、 フルHD 120/60fps、動画最長連続撮影時間: 29分 |
入出力端子 | Wi-Fi、Bluetooth | Wi-Fi、Bluetooth |
バッテリー | BP-SCL4(1860mAh) | BP-SCL6(2200mAh) |
外形・寸法 | 80×130×91.9mm | 80.3×130×92.6mm |
重さ | 652g/734g(バッテリー含) | 658g/743g(バッテリー含) |
さいごにライカQ3について
ライカQ3は非常に懐の広いカメラです。いろいろ良いところ、悪いところ、使用用途などを書きましたが、これらに縛られず、自分なりの使い方を見つけることができるのがこのライカQ3だと思います。買ってみたもののやっぱり使わないな、となることはほぼないと言えるほど万能なカメラなので、ライカ好きも、そうでない人も、これからライカを使ってみたいという人にも満足度が高い代物となっています。
今やライカの主力商品のひとつになったライカQシリーズ。ライカの魅力が存分に詰まったカメラになっていますのでぜひ手にとって確かめてみて下さい。
X(@soyumn)やってます。
ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。
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