ライカ sofort2(ゾフォート2)がいい感じ。アナログとデジタルの融合へ【レビュー】
いきなりだが、ライカゾフォート2は写真=プリントに対するリハビリである。そう感じるプロダクトになっている。このゾフォート2というユニークなカメラがとても面白いことになっているので見ていこう。
CONTENTS
ライカゾフォート2はフィルムかデジタルか?
ライカというのはこれまではっきりとデジタルorフィルムという立ち位置だったと思う。
デジタルで本気で写真をやるならM型やSL系が最適だし、フィルムを選択するなら往年のM3、復刻されたM6や、クラシックで完成されたMP、M-Aなどを選ぶことになる。しかしデジタルカメラを使ってもプリントしない人はしないし、フィルムに関してはどうしてもその手順の複雑さや価格、流通の問題など気にすることは多く積極的に選びにくい現状があった。
ライカゾフォート2という新しいカメラの選択肢
ゾフォート2はいわゆるデジカメとして使用できる。撮影した時点でプリントするかどうかは後で決定できる。
イメージセンサーはCMOSの1/5インチで490万画素。2560 x 1920画素だ。これまで旧型のデジタルカメラについて、解像度は低いけどSNSやそこそこのプリントなら問題ないよね、という言い回しをよく見てきた。これは本当にそうで、webやSNS、小さなプリントであれば実用にまったく問題はない。そしてこのゾフォート2も専用フィルムのプリントに最適化された解像度なわけだ。
デジタルカメラとしての機能は欲しい、つまり一度きりのシャッターチャンスではなく写真撮影に試行錯誤をしたい。かつ、プリントも積極的にしたい、という意欲的な人のニーズを上手くまとめ上げたカメラ、それがゾフォート2だと思う。ちなみに「ゾフォート」とはドイツ語で「すぐに」という意味だ。
初代ゾフォートはこちら
ライカゾフォート2のスペック
モデル | |
---|---|
記録媒体 | 内蔵メモリー(約45枚) microSDカード/microSDHCカード(1 GBのカードを使用時:約850枚) |
インターフェース | USB 3.1 Gen1 Typ-C |
三脚用ねじ穴 | A 1/4(1/4インチ、DIN4503に準拠)、本体底面 |
寸法(W x H x D) | 約123 mm x 86 m x 44 mm |
質量 | 約320 g(フィルムパック含まず、レンズキャップ装着時) |
センサーサイズ | CMOSイメージセンサー、1/5インチ |
フィルター | RGBカラーフィルター |
記録形式 | JPG (DCF 2.0, Exif 2.31) |
解像度(静止画) | 2560 x 1920画素(490万画素) |
ファイルサイズ | 約1.2 MB |
色空間 | sRGB |
名称 | ライカ ズマール f2/2.4mm(35 mm判換算焦点距離約28 mm相当) |
絞り範囲 | f2~f16(オート露出制御) |
プリントバリエーション | 内蔵メモリーもしくはメモリーカード内の画像がプリント可能プリントした50枚が保存され、何度でも再プリントが可能。またはアプリLeica FOTOS経由でモバイル端末からカメラに画像を転送してプリントが可能。 |
フィルムサイズ | 86 × 54 mm |
画面サイズ | 62 x 46 mm |
モニター | 3.0型 TFT 液晶モニター、画素数:460.000ドット |
シャッタースピード | 1/4~1/8000 s(オート露出制御) |
測光 | TTL 256分割測光、マルチ測光 |
露出モード | プログラムAE |
露出補正 | ±2 EV(1/3 EVステップ) |
ISO感度 | ISO100~1600(オート露出制御) |
ホワイトバランス | オート(オート)、プリセット(晴天、くもり、、白熱灯、蛍光灯1、蛍光灯2、蛍光灯3) |
Bluetooth* | Bluetooth 4.2 LE:2402–2480 MHz、最大出力(e.i.r.p.):7.79 dBm |
ライカとプリント、そしてライカゾフォート2
写真というのはそもそもプリントしたもの、つまり平面的なオブジェクトそのものを指し示す言葉であった。「デジタル」写真になって、その物質としての関係性が希薄になった現在、やはり印刷することで生まれる「写真」の面白さや目新しさを楽しいと感じる人が多いのではないかと思う。
撮って眺めて終わり、撮ってアップして終わり。ではなく、撮って眺めてアップしてプリントして楽しむ。そこから作り上げられる写真にまつわること、それらを楽しむ。このあり方を現代的にアップデートしたのがゾフォート2なのだろう。
ライカゾフォート2に見られるライカの哲学
カメラ本体の端正なデザイン性やこの写真に関するマインドという意味で、ライカの精神はゾフォート2に存分に詰め込まれている。これまで写真はスマホでいいやと思っていた人にこそ、このライカゾフォート2は新しい写真体験になりそうな気がしている。
このゾフォート2が発表されたときに、写真を楽しむ本質とは何なのか、ライカに教えられたような気がした。つまり写真というのは撮影して、それをプリントして誰かに見せて、その撮ったときの感動や写真から受け取れるあれこれを共有して話に花を咲かせることではなかっただろうか、、と。
フィルムカメラではもちろんのこと、デジタルカメラでもプリントに対するハードルは限りなく低くなってきている。しかしこカメラ本体でプリントする写真を選び、簡単に出力までできるというシームレスな仕組みは「写真を撮ること」「写真を楽しむこと」により集中できるということでもある。
アナログかデジタルか、ライカゾフォート2での写真体験
アナログとデジタルの融合、この視点はこれまでライカでいくつか行われてきた挑戦のひとつ。
私はライカのM-Dや、ライカM10-Dのようにデジタル機にもかかわらず背面液晶を取り除いたモデルが好きなのだけど、それもアナログとデジタルの融合だったように思う。一見フィルム機と見まごうような出で立ちをしていながら中にはぎっしりとデジタル基盤が入っていてデジタルでコントロールできるカメラ。どうしてもデジタル機能が必要な部分はデジタルを使いつつ、すべてをデジタル化し過ぎない機械が好きだ。小さい頃のおもちゃを触る興味は大人になっても変わってないのかもしれない。
ゾフォート2もインスタントカメラというアナログな機能を中心に組み立てつつも、デジタル化することで得られる恩恵を十二分に発揮している面白いカメラだと思う。
ライカゾフォート2でのミニマルな写真ライフ
これまでデジタルカメラやスマホで撮った写真をプリントするときに、どこで、何に、どんなサイズでプリントするのか、選択肢が多いからこそ悩んでしまうことはなかっただろうか。
このゾフォート2ではゾフォートで撮った写真以外もプリントできる。これがこのカメラ最大の面白いポイントでもある。
つまり単なるインスタントカメラというだけでなく、写真専用のプリンターとしての機能を果たすわけだ。フォーマットが決まっているからこそ、細かなことに悩まずにすぐプリントできるメリットは大きい。
このチェキ系のフィルムというのは面白いことに所有感があって、いくつも集めたくなるような楽しさがある。デジタルだと写真を収集する感覚というのはやっぱり薄いのだ。これまで撮ったお気に入りの写真もライカゾフォート2で改めてプリントしてみると、また違った感動があると思う。
フィルムは比較的にコンパクトなサイズなので集めてもそれほどかさばらないし、同一規格なので整理もしやすい。ミニマルな暮らしをしている人でもこのゾフォートひとつで写真ライフをコンパクトに続けることはできそうだ。
ライカゾフォート2と今後の写真との付き合い方
何度もこのサイトで個人的に伝えていることがある。それは写真を誰か他人のために撮るのではなく、自分のために撮ろうということ。写真史やSNSに流された価値観ではなく、自分がいいと思ったものを、自分が楽しむために撮る。
そのためには特別なレンズなんていらないのかもしれない。愛着のわくカメラが一台と、つい写真を撮りたくなるフレームワークさえあればそれで良いのだ。ゾフォート2は何だかそういう写真との付き合い方に最適なカメラなのではないかとつくづく思えてくるのだ。
ライカゾフォート2はどんな人に向いているか?
デジタルカメラを使っているがプリントをあまりしない人には最高のサブ機になると思う。ゾフォート2一台で旅に出て、あとでそのプリントを見返したとき、これまでとはまた違った感情が生まれてくるはず。
またゾフォート2はどんどん高性能になるスマホのカメラとはまた別の位相を持っているので、スマホで写真は撮るけど写真を趣味にしてみたいという人にはうってつけだ。そしてライカという言葉は聞いたことがあって気になっているけどデジカメには手を出しにくかったという人にも最初におすすめしたいカメラになっている。気になった人はぜひチェックして欲しい。
初代ゾフォートはこちら
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ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。
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