ライカでミニマリストになれるか【GR的カメラについて】
最近とにかく身の回りのものを減らしている。これまでミニマルな生活をしてはいたが、考え方がより、いわゆるミニマリスト的になってきていると実感している。ミニマリストとカメラ、そしてライカとの関係について考えてみたい。
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ライカとミニマリスト
もうこれでいい、これだけで十分だと思わせるカメラがときにある。例えばRICOHのGR。何でも撮れる完璧なカメラではないけれど、これ一台でもういいやと思わせる説得力がある。
ライカQもそういった説得力にあふれたカメラだったと思う。Q2になりクロップ耐性が強くなり、M型でなくとも、まぁこれ一台あれば写真を撮るのには困らないカメラですよね、と言い切れる強さのあるカメラだった。
しかしGRとライカQには大きな違いがある。それはサイズ、そして重量だ。
ミニマリストになるためのカメラ
個人的な話になるのだが最近住む場所を大きく変えた。ほどほどに都会で便利な場所から、南のほう、日本の果てのような場所へ引っ越しをした。ものはあまり持っていけなかったから限りなく持ち物を減らした。そこでいわゆる「ミニマリスト」を自分なりにもう一度考え直してみた。カメラやレンズ、及び写真におけるミニマルな関わりって何だろう、と。
ミニマリストが写真に求めるもの
ミニマリスト的な観点でいうとカメラは小さい方がいいし、軽いほうがいい。そしてそのものに対するコスト(金銭的な意味でも、物理的&精神的にかかるコスト)は限りなく低いほうがいい。GRの場合、片手で持てて、軽い。常にポケットに入れておいて撮りたいと思ったらさっと取り出して、瞬時に取り終えることができる。
一方ライカQは両手でホールドすることを前提にして、それなりの重量がある。価格も一体型カメラとしては破格なのでそれなりに気を使う。これはM型ライカも同様だ。
ミニマリストとは偉大な諦めである
私自身これまで数えきれないほどカメラを売り買いしてきた。レンズも手に入れては手放し、同じレンズを何度も買いなおしたこともある。
今は使用頻度が高いレンズだけを所有し、画角ごとに2レンズまでと決めている。28mmで2レンズ、35mmで2レンズ、みたいな感じだ。
しかしときどき変な気分になる。というのも1カメラ+1レンズしかなかったときのなんとも言えない充実感を思い出してしまうのだ。1カメラ+1レンズであればそのセットしかないわけで、機材で悩むことがそもそもない。どんな被写体でもなんとかそのカメラで撮ろうとする。それで撮れないものは諦める。いわば執着がない。
一方カメラとレンズが多数あると、何を持っていくか、その組み合わせで何を撮るつもりなのか、非常に悩む。
そして決断して持っていったとしても、やっぱりあのレンズがあればなぁと、ないものについて頭を悩ませたりする。
もちろんそれ自体が楽しいときもあるのだけど、冒頭のように今はミニマリスト思考になりつつあり、この山程ある機材をすべて売り払ってGR的なカメラだけにしたらどんだけすっきりするだろうかと考えたりする。うーん悩ましい。
ライカとGRのようなミニマルなカメラ
ミニマリスト的最高のカメラとは
もしミニマリストとして写真を続けるのならカメラは一台、レンズは固定式が良い。カメラに求めるスペックを考えてみたところ個人的に以下のようになった。
- 中級レベル以上の画質
- 手のひらに収まるくらいのサイズ感
- ズームはあってもなくても良い
- なるべく余計な機能がない
- 片手で持てて片手で撮れる
- 物理ボタンで挙動する
- それなりに近寄れる
RICOHであればGR、SONYであればRX100だろうか。じゃあライカはというと、これがなかなか難しい。いわゆるバルナック型はけっこう小さくて好みなのだけど、そのバルナックの精神を受け継いだといわれているライカCLはレンズ交換式カメラになる。そしてポケットに入るサイズ感かというとちょっとあやしい。ライカXシリーズもX1、X2あたりはシンプルで良かったがGRのように片手で扱うカメラとは言いにくい。
ライカとコンパクトデジタルカメラ
求めているのはいわゆる高級コンデジになるのでライカC-LUXか?と探していたら、忘れていました。ライカTの存在を。
ライカTシリーズ(TL2)は明らかに片手で持つように設計されていてスペック的には問題ない。レンズ交換式ではあるが、パンケーキタイプの18mm(35mm換算で28mm)のエルマリートTL 18mm f2.8 ASPHをつければけっこうコンパクト。
しかしこのカメラ、今使っている人には申し訳ないのですが少し中途半端なカメラだった。ライカCLと似ているようで全然違い不具合が多く、私的にあまりライカ感を感じなかった。シャドーに粘りのあるような、ぐっと迫る描写になりにくく高級感もやや薄い。レンズのラインナップが少ないことも原因なんだろうけど、人気が出ないまま消えていってしまった。
しかし今求めているのはこういうコンパクトなシステムなのかもしれないと思う。片手で持ててさっと撮れる。あとはもうちょっと軽くて寄れて、もう少し小さければ完璧なのだが。ライカさん、新しく設計してくれないかな。
ミニマリストにおすすめのライカ
とはいえ考え方によってはライカそのものがミニマリスト向けと言えないだろうか。
M型ライカは(特にフィルム機に関しては)古典的なカメラであるし、M3にズミクロン50mmでもつければ必要十分だ。デジタルのM型は資産にはならないかもしれないがM240からはそこそこ安定して中古があるし、ほどほどに乗り換えていく余力さえ持てばあとは撮ることだけに集中できる。
ライカのGXR的ユニット交換カメラ
余談だが、ライカは基本の操作性は大きく変わらないのだから、カメラの物理的な機械部分は流用して、中のコアシステム部分だけを交換して使えたら良いのにといつも思う。昔RICOHからGXRというユニット交換式カメラがあったが、あのようにスライドしてM9や、M240、M10等のユニットを交換するのだ。そうすれば外側は使い込んでブラックペイントが剥がれて味が出ているが中身は新製品みたいなことも可能になる。面白いと思うけど、設計的にはまぁいろいろハードルはあるのだろう。
ライカにミニマルに求めるもの
そもそもライカを初めて買ったときのことを思い出す。これ以上カメラで悩みたくないこと。機材で妥協したくないこと。シンプルな操作性で写真だけに集中したいこと。
ピントを合わせてシャッターを切る。行為としてはそれだけなのに結局機材うんぬんかんぬんで悩んでしまっている。人は行為そのものに意味を見出したくて、いろいろ悩んでしまう生き物なのだろう。
ただ記録写真を撮りたいのであればそれこそiPhoneで十分だ。しかしそれで満足できないからこそライカでいくと決めた。もう一度初心に戻ってライカとミニマルな付き合いを考えてみようと思う。
ライカにおけるミニマルな写真
ミニマリストは何を撮っていくべきかということについても考えてみたい。
ミニマルな写真のあり方とは、ミニマルなものを撮る作風のことではなく、「ミニマルに写真に付き合う」ということになる。あれこれ手を出して何でも撮るのではなく、自分の中で一本の芯を持ち、撮る哲学を持つ、ということだと思っている。
街中のスナップも撮って天体も撮って、子供の日常も撮って綺麗な風景も撮る。それはそれで幸せかもしれないけれど、自分の中で写真を撮る指針があったほうがミニマルに付き合うことができる。
今、自分の中でこの哲学は何かというと、「一見して分かりにくい、目新しい現実」だと思う。花や人の笑顔みたいな分かりやすいものではなくて(まぁ花も撮るには撮るのだが)、自分のアンテナを広げていたときに見つけた見ごたえのある美しい瞬間。
洗濯の泡が綺麗だなとか、生肉のテカリが魅力的だなとか、あそこに立っている人と横の看板の配置が絶妙だなとか。
自分軸での奇妙な物語を紡いでいった中に現れていく瞬間を収めること。これが今の自分の写真とのミニマルな付き合い方だったりする。今後はまた変わっていくかもしれない。そう、人は常に変化していくのだ。
あなたにとってのミニマルな写真とは何でしょう?
X(@soyumn)やってます。
ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。
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