ライカはなぜ価格が高い?
ライカはなぜ価格が高いのか、ライカに興味を持った人ならばまず疑問に思うことのひとつかと思います。ここではなぜ高いのか、その理由について解説をしていきます。
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なぜ高いのかには理由がある
ライカに興味を持ったとき、まず気になるのは商品すべての価格が飛び抜けて高いということ。数えきれないほどカメラの選択肢がある中で、ライカに興味を持ったとしても周りに持っている人が少なく、またさわれる機会も少ないのが現状です。そして価格が高いとなると気軽に買うこともできない。でも気になる…そういった方は多いかと思います。
なぜそんなに高いのだろうと想像してよく導き出される答えのひとつに、「そういうブランドであるから」というものがありますが、しかしこれで納得できる人は少数です。ライカが他のメーカーと比べて価格が高いことには理由があります。そしてそれがライカを特徴づけている、とも言えるかもしれません。ライカのことをより深く知ることで価格の高さにも納得がいき、その価値を分かって買う(使う)のとそうでないのとでは大きな差があるでしょう。ここではいくつか価格が高い理由のポイントを深く掘り下げて解説していきます。
価格が高い理由のポイント
- ライカ製品を作る生産過程
- ライカ製品のこだわりについて
- ドイツの人件費
- ライカ製品の特徴
- ライカというブランド
結論を言うと、ライカが高いのは、人件費の高いドイツにおいてどんなカメラよりも高い性能と精度を合わせ持ったカメラを、こだわりを持って作っているからです。
ライカ製品を作る生産過程
ライカは製品を作る上でいまだ多くの工程を手作業で行っています。一般的なカメラメーカーだとカメラやレンズを設計してそれらを工場で大量生産していきますが、ライカの場合はひとつひとつライカの職人が手で丁寧に作りあげているという状況です。
なぜこういったことが行われるかというと、ライカ製品自体が複雑な機構を持っているものが多く、人の手による調整が欠かせないこと。それとライカ社が他のメーカーと比べるとまだまだ小さい規模で事業を行っているということがあげられます。
参考:ライカレンズは、こうして作られる
大きな規模で事業を行い生産をするということは、ある程度売れる見込みを立てて、たくさんの数を一気に作り様々な場所で売る必要があります。そのためには工場で機械を使い一括で生産をするわけですが、プロダクトというのは大量に作れば作るほど安くすることができる仕組みになっています。一方ライカではハンドメイドのような形でひとつひとつ作りますので時間がかかります。そして大量に作るわけではないので、自ずと商品の価格は上がっていくということになります。
2014年「ライカT」が発売された際、ライカから製造工程を写したプロモーションムービーが話題になりました。「ライカT」は当時世界ではじめてカメラボディをアルミの塊から削りだして作られたのですが、その工程はもはや工芸品を作るかのようです。
これは高くなりますね…。
そしてライカのものづくりに対する姿勢がよく分かります。
ライカ製品のこだわりについて
ライカでは自社の製品に対して徹底したこだわりと管理体制を貫いています。上記「ライカT」はひとつの例ですが、たくさんあるカメラのモデルやレンズそれぞれに対して「これ以上はない」というほどの品質を追求しています。
まずカメラやレンズの外観として分かりやすい部分としてその素材使いにあります。一般的なカメラ製品で多いのは樹脂製(いわゆるプラスチック)ですが、ライカではアルミや真鍮を削り出すところから始まり、ひとつひとつ熟練の技師達によって丁寧に研磨されます。それらのパーツが内部にも数え切れないほどあるというのだから驚きです。
そして手間をかけて見た目としてただ美しいだけというのではなく、ライカはそのカメラとしての機構も一級品です。今や一般的なカメラレンズは電子的な制御で動いているものがほとんどですが、ライカレンズの場合(M型を基本とします)電子的制御に依存しない、いわゆる複雑なメカ的な機構でそれを実現しているのです。
これはスイスで作られる高級な腕時計を思い浮かべると理解しやすいかと思います。一本数百万〜数千万円とする腕時計の世界ですが、それらはゼンマイの仕掛けや、特殊な機構などをすべて独立時計師と呼ばれる設計士がひとつひとつパーツを作って組み上げます。それらはすべてメカニカルな機構のみで電子的なプログラミング制御されているわけではないのが特徴で、それゆえに価格が高いということになっています。
つまり現代において物理的な機械の集合体としての要素が多いライカの製品は、一般的にはありえないほどカメラというものを芸術品のように作り上げ昇華したものです。それを他のメーカーと同じ舞台で展開しているというのだから驚きの企業だということが分かります。
参考:ライカの企業哲学
ドイツの人件費
ライカの製品を作るのに手がかかっている、ということは分かったかと思いますが、それにしてもカメラやレンズひとつが高すぎるのでは?という理由にドイツの人件費が関係していることもあげられます。ドイツは世界的に見ても人件費がトップクラスに高い国です。時間ベースの生産性自体もドイツは高いものの、人件費もとても高いため、それらが商品の価格として反映されています。
もしライカが他のメーカーと同じようなものを作っていて、ただ人件費の問題で価格が高いだけであれば淘汰されて残っていないかもしれません。ライカが現在もカメラメーカーとして存在している理由として、次にあげるようなライカ独自の特徴があるからこそいまも成り立っている、という風に考えることもできそうです。
ライカ製品の特徴
ライカは先に説明した製品の作り込みの凄さに加え、ライカ独特の撮影方法や写りが特徴です。これらは「ライカの歴史」や「ライカの写りと特徴」でも詳しく解説しています。
写真の文化を作り、いつになっても独自の立ち位置を持っているからこそ、それを求めてライカを使う人がいます。ライカでしか得られないものがあるからこそ、ライカには価値があります。
ライカというブランド
これらすべてをひっくるめてライカというブランドになっています。
ブランドというのは信頼であり、根拠のある価値があってはじめて長く成り立つものだと思います。ライカのカメラやレンズは何十年も前に作られたものであってもあまり価格が変わりません。(むしろ高くなるものもあります。)性能はもちろんのこと、ライカというアイデンティティが確立されているからこそ、変わらない価値がそこにあります。
これらを高いと思うか、安いと思うかは人それぞれですが、「すべてに理由がある」ということが分かればライカを選ぶという選択肢はあって良いのではないでしょうか。
X(@soyumn)やってます。
ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。
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