【決定版】135mmで印象的なスナップ写真を撮るコツ【魅力とメリット】
スナップに最適な画角とレンズについては人それぞれ意見が分かれるところです。スナップを10年以上続けていてやはり面白いなと思うのが、135mmなどの望遠でのストリートスナップ。望遠だからこそ撮れるもの、またその画角だからこそ得られるメリットなどについてまとめてみます。これを読めば135mmストリートスナップの魅力が理解してもらえるはず。
CONTENTS
135mm望遠ストリートスナップの魅力
写真というのは無限にある世界から自分の視点を「切り取る」ことです。しかし広角になればなるほど切り取れる範囲が広くなることで、現実から視点を選ぶ選択肢は狭くなります。逆にこれが望遠側になると「どこにフォーカスを当てるか」という選択肢が広くなり、限りなく自由になります。
つまり135mm望遠ストリートスナップの魅力というのは、切り取れる範囲が狭いこと。どこを切り取るかの自由度が高く、その選択肢が無限にあることで表現の幅が広がることです。ストリートというのは常に目まぐるしく状況が変わります。だからこそどこに視点をおいて何を見せるのか、自分の考える形だけ表現が生まれます。ここが135mm望遠スナップの魅力であり、他の画角との大きな違いだと思っています。
135mm望遠スナップのメリット
では具体的に135mmなどの望遠で撮るスナップのメリットについて考えてみます。
望遠の圧縮効果でしか生まれない構図
望遠側で撮影するとぎゅっと距離感を縮めたようないわゆる「圧縮効果」があります。これを意識的に使うことでしか得られない写真構図が存在します。ベタなところでいえば建築物と月が異様に接近しているような写真などでしょうか。このような手法はストリートスナップにおいても有効で、上手に使えばアイデア次第でとてもユニークな写真が撮れるはずです。
望遠で高さを活かした非日常視点
スナップは基本的に自分の目線で日常の風景を捉えることが多く、良くも悪くも既視感のある写真になりがちです。これを打開するのが高さを利用したストリートスナップです。下から一部分を見上げる写真、もしくは高所から一部分を見下ろした写真は非日常感を演出します。
望遠は撮っていることを悟られにくい
望遠の明確なメリットとしてあげられるのは人との距離感を調整できることです。望遠スナップはプライベートな距離の外側からシャッターを切ることができ、より自然に被写体の一瞬を得ることができます。被写体が写真を撮られていることに気づいているか否か、これは写真の意味に大きく左右してきます。
狭い箇所から望遠でのぞく独特の視点
人間って普段はぼんやり全体を見ていることが多いと思います。しかし135mm望遠では非常に狭い部分を拡大してのぞくような行為をすることになります。例えば植栽の小さな隙間から向こう側の景色をのぞく、みたいな感じです。そういった特殊な視点でしか得られない写真の面白さに気づくと、常に隙間を探してはのぞいてみる、そういう癖がついてきます。
構成要素を最小限、ミニマルにしたい
広角で撮れば撮るほど画面内に構成要素は増えていきます。写真における要素を減らしてミニマルな写真を撮りたいときにも135mm望遠はおすすめです。その圧縮効果も相まって、画面内を平面的にグラフィカルに表現することができるので、そういった写真を求めている方には非常に相性が良いと思います。
物理的に近づけないものを撮れる
あとはやはりこれ、物理的に近づけないものを撮るには望遠を使うしかありません。普段は撮れないと思っているものも「このレンズがあれば撮れるな」と考えることで写真の視点は大きく変化します。どこまでを撮れるものとするか、その思考のベースを拡張するのが135mmなどの望遠レンズです。
135mm望遠と広角スナップとの違い
広角において重要なのは背景だと私は考えています。画角が広くなればなるほど背景が画面を占める割合が多くなるので、どんな背景を持ってくるか、それをどう活かすかが重要になります。逆に良い背景さえ見つかればあとは人が通るのを待っているだけのときもあります。
一方望遠の場合はそれほど背景が重要ではありません。どんな背景でも切り取る範囲を変えればそれなりに絵になったりするので、背景そのものよりもテーマや被写体との関係性、構図の重要性が上回ります。
画角によってスナップにおける大切なことが変わるのを意識する必要がありますね。
135mm望遠で撮るときのコツやテクニック
これまで135mm望遠で撮影するときによく使っていたテクニックやコツみたいなものを上げてみます。
単調にならないように前ボケや後ろボケをいれる
135mm望遠ではいわゆる圧縮効果によりどうしてものっぺりとした写真になりがちです。そこで前ボケや後ろボケを積極的に加えることで写真の奥行きが作れます。あまり意図的すぎると胡散臭くなりますが、多少の演出は写真を豊かにします。
被写体をどの場所から撮るか、を常に意識する
広角と比べて望遠はどこからどこを切り取るか、3D軸で空間を考える必要性が高いです。例えば通りを歩いている人を撮るときに、人混みの中から撮るのか、建物のドア越しに撮るのか、屋上から見下ろして撮るのか、無数の選択肢から選べます。
そこに表現としての可能性や、写真としての必然性を見つけられれば写真はどんどん面白くなってきます。
ガラスなど透過するものは効果的に使う
透過性のあるものは視線が抜けていきます。これを利用できるのは望遠ならではです。都市部では透過性のある建材やショーウィンドウなど望遠で撮るからこそ面白くなるものがたくさんありますので利用してみましょう。
視点を変えることで写真がどう変化するか試行錯誤する
一度撮ってみて、さらに視点を変えることができないか試行錯誤すること、これが135mmなどのストリートスナップでとても重要だと思っています。この工夫の引き出しを増やせば増やすほどにより短時間で写真の魅力を引き出せます。
撮りたい画を頭の中で先に構築する
写真というのは現場でどう撮るかも重要ですが、何をどう撮りたいか、それを先にイメージすることがもっと大事です。ここへ行けばこういう被写体がいるから、こういう見せ方にしよう。そのためにはこれくらいの距離からこの角度で写してみよう。そのときに気をつけることはこれで…
無限に撮れる望遠だからこそ、先に撮りたい画を構築しておくことが重要だと思っています。
135mm望遠は使いにくい?
もし135mmレンズは使いにくいと思っている人がいたら、それはまだ135mmの眼が育っていないということだと思います。135mmで覗いたらどう見えるか、この視点がないとさぁ撮ろうと思ったときに近すぎたり遠すぎたりします。そして何をどう撮ったら良いのか迷い、実際に撮れるものも上手くいきません。
非日常的な視点だからこそ、先程書いたように「先にイメージを作り上げること」「更に視点を工夫すること」が求められます。逆にこれさえしっかりできていれば撮りたいものがしっかりと高確率で撮れるようになります。
要は広角も同様ですが、鍛錬の必要な画角ということだと思います。
135mmか、85mmや90mmの中望遠か
ここは個人的な使用頻度による感覚なのですが、私は85mmや90mmは人物や事物を撮る方にどうしても集中してしまいます。全景によるストーリーを物語るよりも、そのものを個別にフォーカスを当ててしまうので、ストリートスナップをするならもう少し引いて75mmを使うことがほとんど。
75mmの場合、道路を挟んで向こう側の人をさっと捉えるのにちょうど良い画角なんです。そしてもっと寄りたい、被写体や事物の隙間を縫って画面を作り込みたいときには135mmにします。
135mm望遠の面白さ
35mmや50mmよりも自分次第で写真が大きく変化するのが135mm望遠です。広角や標準レンズよりも画面内を作り込める部分が大きいので、予めどういった写真にしたいのかを目の前の光景から組み立てることから始めるのも楽しさのひとつです。
また画面の中で物語を感じさせる関係性を作りやすいのも135mmのポイントだと思います。
遠くにいる人と、比較的近くにいる人を同じフレーム内に収めればその両者の関係性を問う写真になります。こういったことは広角や標準レンズではかなり神経を使います。自由な発想で自由に撮れる、そこを作り込む楽しさがあるのが135mmです。
135mmはこういう人にもおすすめ
135mm望遠は下記のような人に向いていると思います。
- もう一歩前に出ることが苦手な人
- 撮っていることを悟られたくない人
- 客観的な視点で撮影したい人
- 自然な被写体の動きを捉えたい人
- ダイナミックな写真を追求したい人
自分もけっこう当てはまってますね。135mmオンリーではないですが、上記のような気分になるときはやはり望遠側を持ち出すことが多いです。
さいごに
速射性が求められるスナップにおいて広角パンフォーカスで撮る人は多いと思います。しかしもしその広角スナップに行き詰まっていたり、他の可能性を模索したくなったらぜひ135mmストリートスナップを試してみてください。
自分の引き出しを増やせば増やすほどに可能性に満ちた画角です。この記事がそういった人たちの何かの役に立てばと思っています。
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