ライカユーザーとしてSIGMA fpを選んだ話【機材選びからレビューまで】

ライカユーザーとしてSIGMA fpを選んだ話【機材選びからレビューまで】SIGMA fp

Leica M10-Dの興奮も冷めやらぬまま、実は新しくカメラを購入しました。グッドデザイン賞も獲得し、話題の脱構築的なカメラ、SIGMA fpです。ライカの良さを伝えるアトリエライカとして他社のカメラの話をするのは初めてで、かつそれを推薦するのも初めてです。ではなぜ新しくシグマを選んだのか、それにはきちんとした理由があります。今後のカメラ機材の展開や、今の手持ちの機材の見直しも含めて、なぜライカに合わせてシグマを導入したのか、個人的な経緯なども含めて紹介しようと思います。

はじめに

SIGMA fpを購入した理由SIGMA fp

まず先にSIGMA fpを購入した理由を簡単にまとめると、

  • ライカを補う機材をより軽く、コンパクトにできるから
  • ライカレンズをより深く楽しむことができるから
  • レベルの高い動画撮影を行えるから
  • Lマウントに統一することでシンプルになるから

この4つの点を主に重要視して私はSIGMA fpを購入しました。それぞれ順を追って説明をしていこうと思います。

静止画と動画、マウント違いの機材の統一と展開について

これまでの私の主な機材を紹介しておこうと思います。

ボディ

【メイン】

  • Leica M9-P
  • Leica M10-D

【サブ】

  • Nikon フルサイズ機
  • Nikon APS-C機
  • その他水中撮影用コンパクトカメラ等
  • フィルムカメラ
  • ライカゾフォート

レンズ

  • ライカ単焦点レンズ
  • 一眼レフ用ズームレンズ複数
  • 一眼レフ用単焦点レンズ

日常的に写真を楽しむための撮影はメインのライカを使い、仕事でポートレートを撮影したり、記録、物撮りをする際はサブ機のNikonのフルサイズ一眼レフを使用していました。一眼レフを使用するときというのは基本的に失敗ができず撮れ高が求められるときです。

このNikonのフルサイズというのは具体的にはNikon Dfを主に使っていたのですが、画作りも好みに近く、曲線を使用しすぎないオーソドックスな外観デザインや物理ボタンでの操作の感覚がライカと近いこともあり気に入って使っていました。しかしどうしてもフルサイズ機は大きく重量もあるので、これで趣味の写真としてスナップをしたり旅に持っていくかというと…そこはやはりライカの出番なのですよね。

Nikon Df今はもう手元にないDf。良い佇まい。

ライカの機動力とコンパクトさは他に類を見ないレベルなので、プライベートではライカを常用し、時々Nikon Dfを持ち出すというレベルで、使用頻度は低かったように思います。ただ私はデザイナーという仕事上撮影も行うので、どうしてもライカの弱点を補える万能なカメラは手放せず側においておきたい想いがあります。しかしこれがNikonのフルサイズであるべきなのかは、ずっと悩んでいました。(サブ機に関しては機能面の不足がなければライカほどのこだわりがない)

そしてNikon Dfは動画を撮れなかったため、動画を撮る際は動画機能のあるAPS-C機を持ち出し、更に写真をしっかり撮りたい場合はフルサイズを持ち出すという始末。用途や目的をはっきりさせて、機材をまとめる必要があるなと思っていた矢先、SIGMA fpが発表されました。

SIGMA fpのコンセプトはこうです。変幻自在で自分の目的に合わせて自由なスタイルを作れること。ここで自分の機材への悩みや要求などをリストにするとこのような感じ。

  • 重量はできるだけ軽くしたい
  • レンズはコンパクトにしたい
  • フルサイズは本当に必要なのか(APS-Cに変える?)
  • 動画は本格的に撮りたい
  • マウントはできればひとつに統一したい
  • できるだけライカレンズで統一したい
  • 旅用にコンパクトなシステムを組みたい

これらを大方満たすことができれば、M型ライカ+様々な撮影に対応できる環境が整います。そしてSIGMA fpのことを調べれば調べるほど、これは自分の目的にぴったりなカメラなのでは…?と、つまり先程の要求をほぼ解決できることが分かりました。

  • 重量→フルサイズで最小最軽量。
  • レンズ→フルサイズレンズはそれなりに大きいのでここは変わらず。しかしAPC-Sレンズを使うという手もある。
  • センサーサイズ→フルサイズ。
  • 動画→卓越した動画性能。12bit RAW撮影も可能。
  • マウント→ライカ社Lマウント
  • ライカレンズで統一→TLレンズ、SLレンズ、Mレンズが使える。
  • 旅用システム→TLレンズ、Mレンズで可能。

ここで個人的にポイントとして上げたいのは、フルサイズだからといって、無理にフルサイズレンズを選択しなくても良いというところです。つまりAPS-C機にするとAPS-Cセンサーしかないわけですが、フルサイズにすることでフルサイズ or APS-Cという選択肢があるということ。何を当たり前のことをと言われるかもしれませんが、フルサイズはどうしてもレンズが肥大化しがちです(Mレンズは除く)。しかしフルサイズである必要性が絶対であること、というのは経験上極めて少ないので、フルサイズのメリットは考慮しつつもほとんどの場合はAPS-Cで十分なのかなと思えてきた自分にこの選択肢は大きいように感じました。

ちなみにSIGMA fpにライカのフルサイズズームレンズを選ぶとなると自ずとSLレンズという選択肢になります。VARIO-ELMARIT-SL 24-90mm f2.8-4 ASPH.などですね。

重量1140gでかなりヘビーです。これを常用するにはけっこうな体力と根気が必要です…

私なりにSIGMA fpのf(フォルティッシモ=非常に強い)とp(ピアニッシモ=非常に弱い)を解釈すると、フォルティッシモはリグを組んで外部マイクやフォローフォーカス、外部モニター、SamsungのSSDを積んで、シネレンズやSLレンズで12bitの動画撮影スタイル。そしてピアニッシモはパンケーキレンズ、例えば宮崎光学のperarや、AVENON 28mm f3.5、Hektor 2.8cm f6.3、現行レンズだとELMARIT-TL 18mm f2.8 ASPH.がとても薄く、ズームを使う場合でもAPS-CのTLレンズでコンパクトに。撮影状況や自身のスタンスに合わせて選べる選択肢が豊富なこと、そしてカメラは1台のみでも拡張性があることが本当に素晴らしいと思います。

SIGMA fpとライカレンズについて

SIGMA fpとライカレンズについて常用のライカレンズをfpにつけてみたところ。

万能なカメラとして機能するSIGMA fpですが、ライカユーザーとしておすすめしたいポイントはやはりその小さなサイズです。カメラにおいてコンパクトであることは携帯性や持ち出す頻度の関係でとても重要です。

SIGMA fpとLeica Summilux 35mm f1.4 2ndLeica Summilux 35mm f1.4 2nd

レンズはいつものLeica Summilux 35mm f1.4 2nd。
本当にコンパクトですね。Lマウント→MマウントアダプターをつけてもM型ライカよりも小さいので、十分過ぎる性能を持ちながらも気軽に撮影したいときにぴったりな組み合わせ。

ちなみにSIGMA fpのLマウントにMレンズをつけるためのマウントアダプターはいくつか選択肢があります。

SIGMA fpとマウントアダプター

KIPON製 ライカM マウントアダプター

焦点工房製 ライカM マウントアダプター

NOVOFLEX製 ライカM マウントアダプター

Leica 純正 ライカM マウントアダプター

性能はどれも大きく変わらないので、お好みで。これら通常のアダプターに加え更にマクロヘリコイド付きというものも発売されています。ライカは最短撮影距離が70cm~1mなので基本的には被写体に寄れないのですが、このマクロヘリコイド付きのアダプターを付けてレンズを繰り出すことで更に寄れるようになります。

このマクロヘリコイド付きは、KIPON製と焦点工房製の2種類あります。あまり情報がなかったのでいろいろ調べてみたのですが、 KIPON製は繰り出しが約3mm、マクロヘリコイドのトルクは硬めで、最短が1mのレンズでは38cm程度まで寄れ、 焦点工房製は繰り出しが約5mm、マクロヘリコイドのトルクは柔らかめ、最短が1mのレンズでは25cm程度まで寄れるようです。

KIPON製 ライカM マウントアダプター マクロヘリコイド付き

焦点工房製 ライカM マウントアダプター マクロヘリコイド付き

これらマクロヘリコイド付きも合わせると選択肢が多いですが、こうやって見るとそれぞれのデザインの違いも大きいです。

ライカ純正はやはりMレンズとの相性が良さそうですが、値段はややお高め。
KIPONはかっちりした作りで出来が良いです。シンプルですがフォントがライカやシグマのものとも微妙に異なるのが気になる人はいるかもしれません。

SHOTENは焦点工房の製品で安心感があります。マクロヘリコイドの回転がやや柔らかめなので気をつけないといけないのと、あとはデザインがやや複雑。シルバーとブラックの2トーン+ローレットがあるのでオールドレンズとの相性なども関係しそうです。

ちなみに私はこの中からKIPON製のマクロヘリコイド付きを選びました。作りはなかなかでガタもなく、非常にしっかりしていると思います。気になるフォントの部分はスミ入れをしてより目立たなくアレンジ。

SIGMA fpとLeica Summilux 35mm f1.4 2ndLeica Summilux 35mm f1.4 2nd

こうやってみるとライカとは違う方向性ですが、本当にミニマルでコンパクト、写りは言うことなしの完璧なカメラが出来上がりました。このSummilux 35mm f1.4 2ndは最短撮影距離が1mなので、撮影できずによっこらしょと身を引くことが多々ありましたが、このマクロヘリコイド機能によりいつもよりも被写体に寄れるという奇跡。ライカユーザーからすると涙モノです(笑)。

SIGMA fpはスチルの撮影機能も豊富で、毎秒最大18コマの連射や、高速シャッターによる日中の開放撮影、ISO6での撮影、そしてハイレベルの動画撮影もできます。ライカボディ+ライカレンズでは制約の多かったことを飛び越えてライカレンズを更に使い尽くしたい、しかしライカの特徴であるコンパクトさはスポイルしたくないという方には最高のカメラだと思っています。

Lマウントアライアンスの優越性

Lマウントアライアンス画像は公式サイトより

Lマウントアライアンスが発表された当初、SIGMAレンズは使用していたけれどカメラ本体にはそれほど食指が伸びず、panasonicに関しては積み上げたノウハウがどうライカとか変わってくるかが気になっていた程度でした。カメラというものの設計思想やデザイン哲学はやはりライカが頭ひとつ抜きん出ている感じがしますが、シグマも既成概念にとらわれないものづくりにとても秀逸なものを感じてはいたのですけれど。しかしfpの登場によって、これら3社が別け隔てなく同等の選択肢に入ってきたなという印象です。

私のようにライカをメインで使う人は動画や拡張性を求めてfpを購入するでしょうし、シグマユーザーはシグマレンズとは別の方向性でライカレンズを深く楽しむことができます。そしてfpにpanasonicのレンズをつけることで動画撮影を更に強力にすることもできます。マイクロフォーサーズから本格的なシネレンズまで、この3社でまとめてしまえば非常に運用が楽になることはとてつもない強みであり、また写真や映像の世界を更に気軽に楽しめる状況が整いつつあるといって良いです。

極端な話ですが、SIGMA fpを永久に使い続けなくても3社の中からLマウントカメラで更に良いものが出れば買い替えが簡単です。ひとつのマウントで3社から様々な方向性のカメラが出るわけなので、これは楽しみですね。また+αでカメラを買うときもレンズの運用がしやすくて良いですね。

実は今回SIGMA fpを購入する際、Lマウントで他に候補はありました。一つはLeica SL2。完璧なカメラで究極のレンズラインナップを揃えていますが、気軽に撮りたくなるカメラではなく、ライカがワーキングホースと呼ぶほど成果主義の業務使いのカメラです。何度も手にとって確認しましたが、やはり私には重すぎてそして大きすぎました。仕事で使うにはまさに非の打ち所がないカメラかなと思いますが私の想定する日常使いからはちょっと遠い気がしました。動画に関しては性能は整っているものの、チルト液晶などはないのでリグを組むのが前提かもしれません。

そしてLeica CL。バルナックが生きていたらこれこそライカと呼んだであろうと言われるサイズ。フィーリングは文句なし、EVFも精度が高い。そしてサイズ感や重量も問題ないのですが、APS-Cであること、動画機能はおまけ程度なことを踏まえるとSIGMA fpのほうが私には適しているかなと。しかし個人的にLeica CLはとても好きなので、シリーズの今後の展開を楽しみにしています。望みを言うともう少しだけ軍艦部をすっきりさせつつ、できれば細部の意匠をモダン&ミニマルな方向ではなく往年のカメラぽく、バルナックライカを感じさせるようにこだわって頂けるとライカユーザーは飛びつくと思います(商業的にどうなのかはわかりませんが笑)

ちなみに重量はLeica SL2が835g、Leica CLが403g、Leica TL2が399g、そしてSIGMA fpが370gです。本当にSIGMA fpは軽いのですね。

さいごに

動画撮影スタイルのSIGMA fp動画撮影スタイルのSIGMA fp。ユニークな形をしていてとても気に入っている。

撮影状況や自分が求めるものは常に変わっていくので機材選びは難しいですが、それを考えるのも写真という分野の楽しみのひとつです。しかし機材の方向性やマウント、機種関連を大きく変えるのはけっこうな労力なので、私はこの時点で乗り換えをして良かったなと思っています。Lマウントに関してはマウントアダプターも豊富に揃っているのでfpにキャノンやニコンのアダプターをつけてレンズ資産を活用しつつ、周りの状況を見ていくのも良いかと思います。

キャノン用(電子接点あり) マウントアダプター

ニコン用(電子接点なし) マウントアダプター

レンズやカメラをいろいろ見ていると、その機材に理想を描いて、それを入手さえすれば更に良い写真が撮れるような気になりますが、結局はどんなカメラやレンズを使っても出てくる画は自分の腕しだいです。私は求めているスペックや仕様、そして撮りたい写真にM型ライカとSIGMA fpが合っただけで、他にもいろんな組み合わせや使い方、可能性があるはず。その可能性を広げるカメラという意味でもSIGMA fpは少なからず革命を起こしたのではないかと思っています。

SIGMA fpは現時点の自分の中では超強力なフルサイズのサブカメラ、ライカをより気軽に遊びたいときのコンパクトカメラ、そして映像制作のメインカメラという位置づけです。ライカユーザーにはとにかくおすすめのカメラですので、これを機にLマウントという新たな選択肢を作り、ぜひ自由な発想で使って欲しいカメラだと思いました。

良く読まれている記事

合わせて読みたい

オススメ

FIRST LEICA初めてのライカ

ライカとは

ライカの買い方

ライカ撮影に必要なもの

LEICA PHOTOライカで撮った写真

LEICA FEATUREライカ特集