7Artisans 35mm f5.6をレビュー。薄型レンズの実力は!?

7Artisans 35mm f5.6

ライカMマウントのレンズでもおなじみ7Artisansから面白いレンズが発売されました。35mm f5.6固定というちょっと思い切ったスペックのレンズです。f5.6と聞くとライカ好きなら思い浮かべるSummaron 28mm f5.6は開放が暗くても独特の描写で大変人気のレンズでした。さて7Artisans 35mm f5.6はどうなのか。こちらを入手したので使用感などレビューをしたいと思います。

7Artisans 35mm f5.6の仕様

7Artisans 35mm f5.6

画角は35mmでF値は5.6の固定。重さは128gの超軽量で薄型パンケーキタイプ。距離計連動はしません。最短撮影距離は30cmからというライカ使いからするとびっくりなスペック。このレンズの面白いのが、向かって右側のピントノブを動かすと、レンズカバーが開き、その後ピント調節→最短50cmからはレンズエレメント自体が前に移動するという仕組み。鏡胴自体を回さずノブを動かすだけで良いのでとても簡単にピント合わせができます。動きも非常にスムーズです。そしてこの仕様でこの価格。

7Artisans 35mm f5.6

実際の動きはプロモーションビデオなどを見てもらえば。



7Artisans 35mm f5.6のデザイン

7Artisans 35mm f5.6

外観は外周を金色のメッキで、中央はシルバーの梨地塗装に文字が刻印されています。そして側面の模様や上部にある篆刻のようなロゴ。日本やドイツにはないデザインですね。工業的なアプローチではなく、文化的な意匠の延長で「人文」の「文」の形だそうです。非常にコンパクトで独特な見た目なので、遠くからだとレンズを付けているというより何かボディのカバーを被せている感じに見えますね。このあたりは好みによりますが、ユニークで面白いと思います。

7Artisans 35mm f5.6の使用感

7Artisans 35mm f5.6

まずはライカM10につけて撮影したところ、目測でいけるかと思ったのですが実際に撮影したのを見てみるとかなりピントは外してました。さすがに目測だと難しいですね。特に中距離から近距離はf5.6とはいえピント合わせはけっこうシビアです。無限遠パンフォーカス一択で風景をぱしゃぱしゃ撮る以外はライブビューが必須の印象です。ということでビゾフレックスをつけてEVFで撮影しています。

7Artisans 35mm f5.6とライカの作例

すべて撮って出しのjpgで、レタッチはなしです。

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

ボケは若干の癖があるが、そもそもボケを活かすレンズでもない気がする。

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

逆光には基本的強く現代的な設計だが場合によってはフレアが入る。素直なフレアなので活かしても良いし、手でハレ切りすれば特に問題ないかなという印象。

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

近距離のピント面は非常にシャープで、立体感の描き方が良い。

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

ボンネットやガラスの感じをしっかり写し取ってくれる。日常使いでは十分な性能。

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

テーブルフォトももちろんOK。ライカで撮影=テーブルフォトは何かしらの用意がないと難しいのでこれは本当にありがたい。

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

ちなみにレンズカバーはピントノブを調整すれば半分開けるみたいなこともできる。これを使って飛び道具的にフレアを消すこともできた。左が通常撮影。右がカバーを半分開けたもの。

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

少し糸巻き型の歪曲収差があるので建物など垂直がしっかり出ているものを撮ったときはLightroomなどで補正すると良さそう。

7Artisans 35mm f5.6の作例Leica M10-D 7Artisans 35mm f5.6

f5.6でも近距離だと良い感じにボケてくれる。マクロ的な使い方はできないけれど、30cmというのはかなり寄れる。

7Artisans 35mm f5.6の印象

初めに手にとった印象は、こんなコンパクトでボディキャップのようなレンズが本当にちゃんと写るのだろうか、と。それとf5.6固定というのが実際いろんなシーンで使えるのかどうかというのも気になってました。しかし使ってみるとこれはこれでありだなと納得。F値を気にしなくてすむというのはひとつ写真撮影における行為が減るわけで、気楽に撮りたいときにはもってこいだと感じました。特に中距離から近距離での撮影はマニュアルの楽しみも感じつつ、中心部のシャープさを活かして良い写真になりやすいイメージ。

個人的に35mmという画角が自分の標準画角に近いのもあり、近景から遠景まで、オブジェの接写からスナップ、風景撮影まで最小限の動作で撮影できるのは快適そのもの。ボディキャップライクなレンズとしてはこれ以上ないものだと思います。

7Artisans 35mm f5.6とSIGMA fpの作例

7Artisans 35mm f5.6の作例

SIGMA fpにつけると更にコンパクト。一昔前の巨大なフルサイズカメラを考えるといろんな意味で感慨深いです。

7Artisans 35mm f5.6の作例SIGMA fp 7Artisans 35mm f5.6

コントラストは現代的でしっかり写る。周辺減光はわりとあるが逆にこれは良い味付けになっていると思う。

7Artisans 35mm f5.6の作例SIGMA fp 7Artisans 35mm f5.6

7Artisans 35mm f5.6の作例SIGMA fp 7Artisans 35mm f5.6

7Artisans 35mm f5.6のまとめ

非常に使いやすく身軽で撮っていて楽しいレンズでした。Mマウントをもっと気軽に、という製作者の意図が読み取れます。ただ、このレンズはシビアな撮影や作品撮りには適していないのも事実。いわゆる目的と用途に応じて棲み分けをしているのだと思います。今日は重いもの持ちたくないから軽いレンズでいこう、そして気軽にさらっと撮影を楽しもう、みたいな気分のときには最適だと思います。あとライカM3、M6にはつかないそうなので注意が必要。

そしてオールドレンズのような味付けはありつつも程よくしっかり写るというバランス。また無骨なレンズが好きでないという人にもなかなかのチョイスとなるんじゃないでしょうか。

完璧なレンズは往々にしてヘビーに、そして高価になっていきます。レンズはまずは買って外に持ち出さないと良い写真は生まれません。こんなに安価なのであれば、それこそSIGMA fpにまずはつけっぱなしで持ち歩けば、フルサイズで何でも撮れるオールマイティーさを楽しめます。

星の数ほどあるレンズだからこそ、個性や特徴がもっとあって良いと思うのです。攻めたデザインと攻めたスペック。そして買い求めやすい価格。独創的なレンズの選択肢がこれからもっと増えるよう7Artisansに期待してます。

X(@soyumn)やってます。
ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。

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