写ルンです×ライカ。厚さ4mmボディキャップレンズでノスタルジーに浸る
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はじめに
まずはこの写真をどうぞ。
この薄さ、まるでボディキャップのよう。ライカを使っているとカメラがコンパクトなので、レンズもできればコンパクトにしたいという想いが強くなるのは当然のこと。その点でこれはまさに究極のサイズです。厚さは約4mm、レンズの性能としては画角は32mm、F16固定です。
この時点で感の良い方はおわかりかと思います。そう、これ写ルンですのレンズなのです。レンズをMマウントに加工してデジタルカメラで使えるように制作しています。なかなか面白いレンズになったので作例を含めて紹介しようと思います。
写ルンです×ライカ
画像は公式サイトより
写ルンですといえば富士フィルムから長年発売されているレンズ付きフィルムです。使い捨てと言われますがレンズは再利用されています。
初めてさわったカメラが写ルンですだったという人も世代によっては多いのではないでしょうか。私もそうでした。親に持たされたり、また道端で急に「写真撮ってもらえますか?」と渡されたりして、失敗したらどうしようとどきどきしながら撮ったのを覚えてます。そのときは写真の撮り方もよく分からなかったのですが、ただフレームの中に入れてボタンを押すというシンプルさでなんとか乗り切っていたように思います。
写ルンですの良さはただシャッターを押せばどんな状況でもそれなりに写る、という手軽さです。ただ現像したものを見てみると写ってはいるものの、何を撮ったのかよく分からない写真だったり、まぁひどい写真を量産していることも多々ありました。写真のイロハも分からない時期でしたので仕方がなかったのですが、今写ルンですを真面目に使ったらどんな写真が撮れるのだろうと思いつつデジタルカメラばかり使っていたところ、これを見つけました。
GIZMON utulens
写ルンですのレンズを使ってデジタルカメラで撮影できるようにマウントを組み込んで商品化されたものです。マウント部を外せばライカLスクリューマウントになってますので、LMリングをつければライカでも装着できるということですね。便利。
Mマウントの写ルンです
興味はあったものの個人的にプラスチックのやや安っぽいデザインが気になり、ライカのデザインに合わないのではと思って購入までに至らず。他に方法がにないか探していたところ、、見つけました。某フリマアプリでMマウントにワンオフで制作しているものを発見。3Dプリンターでレンズ鏡胴を作っているようです。個人でこういうものが作れるすごい時代になったものですね笑
Mマウントの写ルンですレンズ
そのままだとミニマルな雰囲気はあるもののやや味気ないので、カメラ補修用の皮革を購入しカスタマイズしていきます。
これはビニックスレザーという高級合成皮革。ライカで使われているものとほぼ同じもの。
あとコンパスカッターを使い、円形に切り出した後付属の強力両面テープで張り合わせます。
写ルライカ
出来ました。ほぼボディキャップといって良いほどの仕上がりです。写ルンですの枚数を気にせずデジタルで無限に撮ることができる、ライカ版写ルンですが完成しました。ライカ×写ルンです=写ルライカとでも名付けましょう笑
技量の無駄遣い
なお、ライブビュー機能をオン(M10-Dの場合ビゾフレックスをオン)にするためにはボディ側のマウント部分の6ビットコード認識箇所を何かで覆う必要があります。ここが露出しているとレンズがついていないと認識されてオンになりません。また白もしくはシルバーで覆う必要があり、私は白のパーマセルテープで覆って強制的にオンにしています。このあたりは改善されて欲しいですね。
SIGMA fpと写ルンですレンズ
ちなみにSIGMA fpにつけるとこんな感じ。なんだろう、少し廉価タイプのコンデジみたいな雰囲気になる。
写ルンです×ライカの作例
さっそく試写をしてきました。
Leica M10-D F uturn 32mm f16 ASPH.
Leica M10-D F uturn 32mm f16 ASPH.
おおぉ、さすが写ルンですのレンズ。プラスチックの一枚のメニスカスレンズですが、思ったよりよく写ります。このレンズ非球面とのことで、ライカでいうASPH.でしょうか…(勝手にレンズ名をつけてF uturn 32mm f16 ASPH.とでも呼ぼう)
悪くない、、悪くないのですが昔写ルンですで撮ったときの印象と何かが違うなと考えていたところ、分かりました。フィルムです。
写ルンですはフィルムで撮っています。調べたところフジの一般的な135フィルムで感度400のようなので、ライカで撮影したRAWデータをLightroomのVSCOフィルムプラグインにあるFuji Superia 400で再現して現像をしてみることにしました。
元のデジタルデータだと単に描写の甘いレンズに見えますが、忠実にフジのフィルムで再現して現像をすると、、
Leica M10-D F uturn 32mm f16 ASPH.
Leica M10-D F uturn 32mm f16 ASPH.
イメージとかなり近い気が!そして押し寄せるノスタルジー。
Leica M10-D F uturn 32mm f16 ASPH.
Leica M10-D F uturn 32mm f16 ASPH.
Leica M10-D F uturn 32mm f16 ASPH.
Leica M10-D F uturn 32mm f16 ASPH.
Leica M10-D F uturn 32mm f16 ASPH.
Leica M10-D F uturn 32mm f16 ASPH.
これだよ、これ!とひとり盛り上がってしまいました。まさに写ルンですで撮った写真。被写体もそれらしいものを選んだせいか、どことなく昭和の香り…
現代のライカのレンズに見られるような緻密で精細、恐ろしいほどの描写力とは対極にあるようなものですが、なぜだろう。これはこれで良いなぁと感じてしまう自分がいます。
思い返すと湧き上がる古い記憶との結びつきや郷愁の念など諸々関係しているのでしょうね。よく分からずにシャッターを押していた頃から長い年月が経ち、こうやってライカを持つまでに至って、そして少年時代初めて撮ったレンズをそのライカにつけていること。
現代の技術は複雑すぎてユーザーには知るよしもないことだらけですが、まだこのレンズは人間の知覚を大きく超えていないことの安心感みたいなものがあるのかもしれません。といっても3Dプリンターを使っていたり、RAW現像再現をしていたり現代の技術パラダイスで成り立ったデータなのですが…
さいごに
この薄さ
とにもかくにも焦点距離32mm、F値固定、パンフォーカスで気軽に持ち出せる写ルライカが出来上がりました。写ルンですはシャッタースピードが1/140なので、シャッターダイヤルを1/125、ISOはオートにして遊んでいます。
なお、写ルンですはレンズの収差を減らすためにフィルムを湾曲させて内蔵しているらしいのですが、今回のようにレンズ単体で使うと歪みが強いです。Lightroomのレンズ補正→ゆがみを-12くらいにするとちょうど良くなるので、上記のVSCOと合わせて一括で現像できるようにユーザープリセットを作っています。
あと写ルンですの特徴といえばあのフラッシュを焚いたときの白飛び具合。少しでも暗ければフラッシュ焚いて撮影していたような。これも試してみたいけれどライカ用のを持ち合わせていないので、まだ今後の楽しみとしておこうと思います。ライカでお遊びとしてノスタルジーに浸るのに写ルンです、良いですよ。
GIZMON utulens
単純に写ルンですをつけて撮影してみたければ既存の商品をおすすめします。
X(@soyumn)やってます。
ライカで撮った写真やライカ関連ツイートを日々更新中。
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